●平成20年度西山小学校活動内容(抜粋)
研究主題・金銭教育の目標は、19年度活動内容を御覧下さい。
 ≪活動内容≫
○自分の金銭を管理し、お金の使い方、生かし方を考える
  ・長期休業日中のお小遣い調べ
  ・遠足のおやつを自分で買おう
  ・山菜料理作りのための買い物実習
  ・Let's go!!修学旅行!!
   〜上手に買い物をしよう〜
○作物の栽培と販売を通して、お金や労働の価値を学ぶ
  ・サツマイモを栽培して、バザーやスーパーマーケットで買ってもらおう(事例掲載)
  ・そば作りを通して、労働の大切さを学ぶ
○お金の価値や役割について知識を広める学習
  ・お金はどこから来て、どこへ行くの?
  ・お金について知ろう!
○教科との関連をはかり、金銭教育の視点を加味した教科学習の実践
  ・ゴミにも値段があった!(事例掲載)
 
 ≪活動の実際≫
 作物の栽培と販売を通して、お金や労働の価値を学ぶ
平成20年度の新たな取り組み
(1)栽培面積を増やす
 昨年度、「ハボタン祭り」のバザー会場でのサツマイモの販売は、地域の方や来場された方から好評の内にほぼ完売することができた。
 また本年度は、「10万円を売り上げよう」という目標を持ち、休耕地を活用し、栽培面積は昨年度の3倍以上、収穫量も4倍の約170Kgとなった。
(2)価格設定についての学習
 昨年度は、初めての試みということもあり、バザー会場でも来場された多くの方々にご厚意でサツマイモを買っていただいた面があった。今年度は2年目なので来場された方に、より魅力ある商品としてサツマイモを買っていただきたいと考えた。
 昨年度の学習を踏まえ、商品にとっての価格は、最も重要な要素であることを子どもたちに考えさせるために、学習計画を立て実践した。

サツマイモの値段を決めよう!
1 ねらい(栽培から販売まで)

・ サツマイモを販売する活動を通して、お金の価値を知り、ものやお金を大切にする態度を養う。
・ サツマイモを収穫したり販売したりする体験を通して、働くことの楽しさや大変さを知る。
・ ものの価値を決めているさまざまな要素に気づき、自分たちが収穫したサツマイモの値段を、根
 拠をもとに考えることができる。
・ ものを販売するためには、買う側の立場になって、商品について考えたり、販売方法を工夫した
 りする必要があることを考えることができる。
・ ものを販売する際には、売買に伴う金銭や全体の収支の管理が必要であることに気づくことが
 できる。

2 本時のねらい

・ 自分たちが収穫したサツマイモについて、見た目、味、市場の価格、利益などの要素を考えて適正な価格をつけることができる。

3 学習の実際
     学 習 内 容                学  習  活  動
○学習問題の確認

○値段を決める方法について、どのような要素があるか話し合う




○イモの値段を決める話し合いをする。

 





○実際に買う立場の人に意見を聞く。

○イモの値段を決定する。


○サツマイモの値段を決めよう!

○値段を決める方法について話し合う。
 ・農家の人の話を聞き取ったことから考える。
 ・スーパーマーケットで実際に売られているサツマイモと比較し
 て考える。
 ・調理した場合の味について考えてみる。
 ・実際の売り方について考える。

○サツマイモの値段を付けよう!
「重さで値段を付けるんだったら、スーパーで売られていたイモの重さと値段を比べてみようよ。」
 ・100gいくらにすればよいだろうか。
  「30円」「20円」「10円」「25円」の意見が出たので話し合って決める
 ・それぞれの値段でイモ1袋の値段を計算してみよう。

○比較のためにスーパーで販売されているイモと自分たちが栽培したイモを持って、K先生のところへ話を聞きに行く。

「K先生が、是非買いたいと言っていた100g20円がいいと思うよ。」
「利益をたくさん出すには値段を高くしたいけど、バザーで売るから少し安めの方がいいね」

4 考察
 昨年度の経験もあり、子どもたちはサツマイモの価格の設定について、様々な要素を十分に考えて決定することができた。今回の授業では、実際にスーパーで販売されているサツマイモをそのまま提示し、話し合いの材料として取り上げたことも話し合いの活性化につながった。
 子どもたちは、市場の価格を重視し、最終的には身近な購買者であるK先生の意見を参考にして、価格を決定した。
 今回の学習は、子どもたちが野菜などの食品を買う側になったときに、より適切に食品を選択する力を養うことにもつながると思われる。

(3)スーパーマーケットでのサツマイモ販売
 今年度は「10万円を売り上げよう」という販売目標を掲げ、地域の祭りのバザーで販売するとともに、池田町の市街地にあるスーパーマーケットでも販売することとした。
 事前の打ち合わせでは、レジでの精算に必要なバーコードの製作を実際に体験させてもらった。また販売の準備としてイモの計量と袋つめ、製作済みのバーコードや自分たちが製作したシールを袋に添付する作業を行った。
 また店頭で陳列される際に、子どもたちが栽培したことがわかるように、収穫の様子の写真等をデザインしたポスター作りも行った。
 店頭での販売初日には、6年生の子どもたちが販売活動に参加させてもらった。店側からは焼いたサツマイモの試食コーナーを用意していただき、子どもたちは積極的にお客さんに声をかけ、多くのお客さんと直接ふれあうことができた。販売活動の途中には、店内アナウンスもさせてもらった。
 こうした体験から、スーパーマーケットでの商品の販売方法や流通の仕組みなどについて体験を通して詳しく学ぶことができた。
 この活動の様子は新聞でも取り上げられ、地域周辺の方々に学校で収穫したサツマイモの販売活動を知ってもらうと同時に、子どもたちにとっても活動の励みになった。

 
 教科との関連をはかり、金銭教育の視点を加味した教科学習の実践
 平成19年度の実践を終えた後の課題として、各教科等との関連をはかる実践の必要性が挙げられた。そこで3・4年生の社会科の内容である地域社会での廃棄物処理の学習の発展として、金銭教育の視点を加味した学習内容を展開することとした。
 
ゴミにも値段がある(社会科)
1 ねらい

・ 学校や家庭、地域から収集しているゴミの種類や量の多さに気づき、ゴミの処理の仕方に関心
 を持つことができる。
・ ゴミの処理方法はゴミの種類によって違いがあることを知り、ゴミを分別することにより、資源ゴミ
 の再利用ができるとともに、ゴミの減量化につながることを理解する。
・ ゴミを処分するためには、多くの費用が必要であることに気づき、ゴミを減らしリサイクルを進め
 ようという態度を身につけることができる。

2 本時のねらい
・ ゴミを処分するためには、多くの費用が必要であることに気づくことができる。
・ ゴミを減らし、リサイクルを進めようという態度を身につけることができる。

3 学習の実際
  学 習 内 容                 学  習  活  動
○ゴミの処理に多くの費用が必要であることに気づく
 
 
 
○ゴミは種類によってその処理の費用に違いがあることを理解する
 
 
 
○ゴミの処理費用は、税金であることを知り、無駄なお金をなるべく減らそうという態度を養う。

 
○三好市の人たちが1日に176万円使っているものがあります。
 それは何だと思いますか。
 ・三好市では1日あたりゴミの処理に176万円を使っています。
  三好市は平成17年に1年間で6億4256万円のお金を使って、三好
  市の人たちが出したゴミを処理しています。

○三好市のゴミの種類と量の変化を見てみましょう。(ゴミの量のグラフ)
 ・ゴミはその種類によって、処理にかかるお金が違います。1人分にする
 と、「燃える・燃えないゴミ」などに9622円、「資源ゴミ」には3300円で合
 計1万2922円かかっていることになります。
 「1日だといくらなのかな。」(計算する…1日あたり35円)
 
○このお金はだれが払っているのでしょう。
 ・三好市がお金を出しています。でもその三好市のお金は、三好市に住
 む人が出しているんです。それを税金といいます。みんながお金を出し
 合っているんです。みんなのおうちの人もお金を税金として出しているんで
 すよ。だから1日35円は、みんな1人1人が出しているんです。みんな
 が毎日ゴミ箱にゴミを捨てるのといっしょに35円もいっしょに捨てている
 ことになります。
・みなさんができることがありますよ。考えてみましょう。

4 考察

 今回の学習では、環境面からでなく社会的な費用の負担という側面から、ゴミ処理と自分たちの生活との関わりをとらえ直すこととした。
 子どもたちは、ゴミを処分するために必要な金額に驚き、その費用を自分たちの家族が最終的には支払っていることにさらに驚いていた。1日1人分にすれば、35円あまりだがゴミといっしょにそのお金を支払うとなれば、とてももったいないという感想が聞かれた。
 今回は、他の公共料金と比較することはできなかったが、自分たちの生活に身近な産業活動をお金に換算することで、子どもたちの関心や意欲がより高まることが考えられる。

 ≪研究の成果と課題 ≫
 『お金や労働の価値を体験的に学び、「生きる力」を育てる金銭教育』を研究主題に2年間の実践を重ねてきた。
 さつまいもの販売活動では、買ってくれる人との金銭の受け渡しを通して、お金の価値の重さを実感し、ものを売る側の責任を考えることができた。また、チラシによる宣伝やいもの値段の付け方を考えることで、ものを売るための工夫や難しさを知った。
 また昨年度の課題であった教科との関連についても、金銭教育の視点を加味した社会科学習を実践することができた。
 今後は、2年間の実践を生かしながら、継続的に「生きる力」を育てる金銭教育を行っていきたい。
 
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