1. 昨年までの活動 |
子どもたちは、生活科などの学習を通し、学校園において野菜を栽培。昨年度は20kgのさつまいもが収穫できた。しかし、農家の人のいもとは、色・味・形がずいぶんと違っていた。農家の人への聞き取りから、「土づくり」の大切さを学び、より農家の人のものに近づけ、自分たちで商品化してみたいという意欲を持ち、今年度の活動に臨んだ。 |
2. さつまいも栽培に関する調査 |
昨年度より、鳴門市の農家の人にさつまいも栽培に関する講師を依頼しており、メールや手紙を活用して聞き取りを行った。 |
3. 学校園の利用方法の年間計画作り |
3年生は、社会科・総合的な活動の時間を関連させながら行い、昨年度に引き続いてさつまいも、小麦作りに挑戦することにした。さつまいもは11月にある地域の祭りで商品化をめざすことを考慮し、それぞれの生育期間を見通して、栽培から販売までの年間計画を作成した。
また、栽培や販売に必要な金銭の記録も残していくことにした。 |
4. 学校園の整備 |
よりよいさつまいもを収穫するために、「土づくり」から取り組んだ。さつまいも農家は、水はけのよい海の砂(手入れ砂)でさつまいもを栽培していることが分かったが、手入れ砂は貴重なものなので、少し分けていただき、1畝に混ぜ込んだ。 |
5. 試し堀り |
できるだけ販売日に近い時期に収穫し、新鮮なものを売り出したいという子どもたちの思いがあり、適した収穫の時期を農家の人と決めた。 |
6. 収穫 |
植え付け前の土づくりから取り組んだため、昨年より、品質が良い。特に、砂地のものは、色も形もよかった。児童は、農家の人の知恵や工夫に感心していた。さらに、収穫量も自分たちの予想を超えており、今後の販売活動への意欲がさらに高まったようだ。 |
7. さつまいも販売のための準備 |
≪ 社会科見学 ≫
3年生の社会科「地域で働く人々」の学習と関連し、地域の人々や家族が働く場所の見学を行った。その際に、さつまいも販売に向けての調査も行った。
スーパー
マーケット
見学 |
スーパーマーケットでは、衛生面に特に注意していることや、接客方法にも配慮していることを聞いた。また、商品の陳列方法や広告のデザイン、価格設定、売り方などの工夫をしていることも知った。 |
税理士
事務所
の見学 |
税理士事務所を見学し、商品には、税金がかかることや、商品の売買には、金銭の管理が必要なことなどを学んだ。また、さつまいもの販売の際には、金銭の管理が必要となるため、領収書を用いた売上金管理の仕方なども教えていただいた。 |
ガソリン
スタンド
の見学 |
接客では、明るい笑顔で対応することや大きな声で呼び込みをすることが、大切なことを知り接客の難しさを学んだ。 |
≪ 店の準備及び宣伝活動 ≫
3年生が計画・立案し、全校で協力して店の準備や宣伝活動を行った。
「ハボタン祭り」
実行委員会の
広告への掲載 |
毎年11月、地域で開催される「ハボタン祭り」に出店が決定。さらに、祭りの実行委員会が作成する新聞の折り込みチラシに、本校のさつまいも販売の宣伝欄を設けてくださることになった。 |
農家の人への
聞き取り |
さつまいもを商品化するにあたり、実際に農家の人が気をつけていることや工夫についてインタービューした。価格は、味や形などの品質により決めていること、販売では消費者のニーズを考え、箱売りや袋売りなどいろいろな売り方をしたり、安心して消費者が購入できるように、生産者を明示したりしていることなどを聞いた。 |
チラシ・値札・
看板づくり |
スーパーの見学や農家の人への聞き取りを生かし、3年生がチラシ・値札をパソコンで作成した。自分たちが作ったさつまいもであることをアピールするため、どちらも子どもたち全員の写真を取り入れた。
看板作りは5・6年生が担当し、試行錯誤を繰り返し消費者を惹きつけるような言葉やデザインを工夫した。 |
価格設定 |
今回は、より多くの人に買ってもらいたいので、100g当たりの価格を決めて値段を付けることにした。その際、学校園と砂地のさつまいもは品質に少し違いがあったため、学校園のいもの価格を安く設定した。 |
役割分担 |
販売日当日の必要な役割について3年生が話し合った。合計金額を計算する係、金銭を受け渡す係、領収書を書く係、品物を袋詰めする係を作った。全校での話し合いでは、一人一人が、自分が責任を持ってできる役割を分担し、リハーサルを行った。 |
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8. 販売活動 |
閉店後に売上金を計算した。高額の金銭を扱った経験が少ないため、計算に戸惑う場面もあったが、高学年を中心とし、正確に計算することができた。発行した領収書と合計金額との照合も行った。 |
9. 利益の使い方について |
3年生での話し合いでは、「学校生活をよりよくするために使おう」等の意見にまとまった。そこで、3年生から全校にアンケートを行い、意見に出た品物の価格を調査した後、最後に全校で話し合った。 |
10. 取り組みを終えて |
さつまいもの栽培、販売活動を通して、子どもたちは、「労働の心地よさ」、「生長や収穫の喜び」を体感し、「お金は、労働の対価として得られる」ことも学ぶことができた。しかし、春から秋までの長期間にわたる活動だったことや、協力してもらった人たちの人数を考えると、少ない利益であるとも感じ、労働からお金を得ることの大変さを実感した。
そして、保護者などからもらう小遣いをもっと考えて計画的に使うようにしたいなど、自分の生活を振りかえることができた。
また、農家の人への聞き取りや社会科見学を通し、専門家の知恵や工夫、努力についても気づくことができ、子どもたちは改めて働くことの大変さを感じていた。
自分たちが心を込めて栽培した作物を自分たちが計画して売り出し、得た利益の活用の仕方を考える活動を通し、「ものに金額がつく仕組み」や「お金の大切さ」、「ものを大切にする心」などを学んだ。
今年度は、「自分たちの作物を専門家のものに近づけ、商品化してみたい」という思いから活動が始まった。その思いは実現できた。しかし、活動前には利益の活用方法までは十分に見通すことができ
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ていなかった。さらに、「労働の内容や時間と利益の関係」、「宣伝や販売方法の工夫」などの新たな課題も出てきた。
来年度は、利益の活用の仕方をはじめに考え、その目的に向けて活動内容を発展させ、取り組みを継続したい。 |
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