●平成20年度江原東幼稚園・小学校活動内容(抜粋)
 研
 究
 主
 題
 ふるさとを愛する心をもち、
 くらしやすい環境をつくるために進んで働く子どもの育成
 〜 人・もの・お金を大切にする豊かな心を培いながら 〜
 
 研究の進め方
 1 年 次
 ふるさとの人や環境を愛し、ものやお金を大切にする心をもち、進んで働く子どもを育てるために、学校敷地内にある炭焼き窯を利用し、地域の人とともに炭焼き体験活動を展開する。(活動内容については19年度実績を御覧下さい)
 2 年 次
 ものや金銭を大切にする心情や、ものや金銭の価値を正しく知り、計画的に活用する生活習慣を身に付けることができるようにするために、金融機関見学や買い物体験を中心として活動を展開する。
 
 事例1 買い物体験活動
1 遠足のおやつを買おう(全校…春・秋の遠足)
(1)活動のねらい
・ 自分の持っているお金に合わせて、ものを計画的に買うことができるようにする。
・ ものの価値を表すお金の役割に気づき、品物に対して、自分なりの価値判断ができるようにする。

(2)活動の概要
 本校の子どもたちは、おこづかいをやり繰りしながらおやつや雑誌、雑貨などを購入するといった経験に乏しい。友だちとの遊びの中で、駄菓子や本屋などを訪れ、自分のおこづかいに見合った買い食いをしたり、漫画雑誌を買い求めたりする経験が、日常的に金銭感覚を育む役割を果たしていると思われる。そこで、決まった金額に合わせて品物を買う体験が、日常生活によい影響を与えるのではないかと考え、遠足のおやつを上級生と下級生(園児)のペアで買う活動を5月と11月の2回の遠足に合わせて行った。

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<1回目> ショッピングセンター内にある、駄菓子屋に似せた店舗

あめ玉1個から買える細かな価格設定になっているので、300円以内で子どもたちは、あれこれ見つくろい、買い物ができた。

≪児童の感想≫
○ (ペアの)幼稚園さんが、はじめ、値段のことを考えないで、高そうなものばかり選んでいた。300円でそんなに買えないことを教えてあげると、「これとこれは、いける?」と質問してくれるようになって、うまく買えた。
○ 家の人と来たときは、値段のことは気にしないで買っているけど、今日はよく見て買った。

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<2回目> コンビニ
他のお客さんに迷惑をかけないで短時間で買い物を終えることと200円以内でというめあてがあったので、子どもたちはてきぱきと買い物をすますことができた。
≪児童の感想≫
○ 計算が分かりやすいように、お菓子は2個で200円以内になるようにした。
○ お客さんがたくさん来ていたのでじゃまにならないように、できるだけ早くおやつを決めた。200円ぐらいと見当をつけ、いい線いっていたのでとてもうれしかった。
 
2 買い物名人になろう(5・6年…11・12月)
(1)活動のねらい
・自分の買い物の仕方を見直し、よりよい買い方を工夫できる。
・調理に必要な材料の選び方が分かり、適切に購入することができる。
・必要性を考え、計画的に物や金銭を使うことの大切さを理解することができる。

(2)活動の概要
<DVD教材「買い物名人になろう」(社団法人しんきん保証基金)を視聴>
 視聴後に次の調理実習(クレープを使ったデザート)の材料の買い物の仕方について考え、計画を立てた。それをもとに、買い物で考慮することを家庭でも話し合ってもらった。

≪家族との話し合い後の児童のまとめ≫
○買おうとしている物が本当に必要で、大切にできる物かよく考える。
○値段が適正で、品質に問題のないものを選ぶ。
○食料品・食材は、賞味期限や産地に気をつける。
○環境によいものを選ぶ。

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<買い物をして、デザートをつくる>
 調理実習計画にしたがって、材料の買い物をし、その後、調理実習を行う。

≪児童の感想≫
○ 缶詰のくだものを係だった。使う量にあった小さめのものを見つけることができてよかった。量は同じでも、値段の安い方を買った。
○ 材料のむだをなるべく出さないように買った。賞味期限が少しでも長いのを買った。値段も安い物を選んだ。
○ お金のむだがないように、あらかじめみんなでよく考えたのがよかった。実際に、むだがでなくて、すごくうれしかった。
 
 事例2 金融機関見学
 「夏休み親子ふれあい金融機関見学」(小学生)…8月
(1)活動のねらい
 ・お金の循環と銀行の役割について、理解を深めることができるようにする。
 ・お金にまつわるいろいろな工夫やひみつについての知識を身につけることができるようにする。

(2)活動の概要
 徳島信用金庫三加茂支店で開催された見学会に全員が参加。お金がどのような仕組みで世の中をまわっていくのか、そこで金融機関がどのような仕事をしているのかなど、ていねいに説明していただいた。
 その後の体験コーナーでは、子どもたちは驚いたり感心したりしながら、偽札の見分け方や紙幣の数え方、1億円の重さなどのお金にまつわる知識を身に付けることができた。また、カウンターの内側から客用フロアーを見たり、貸金庫やATMを見学したりと、貴重な経験をする機会となった。

≪児童の感想≫

○ お金は一般の人に行くまでに、違うところに行って検査をするのがすごい。
○ 偽札が作れないようにいろいろな工夫がしてあることが分かって、安心した。
○ お金のひみつや知らなかったことが分かってうれしかった。
 
 これまでの取り組みを終えて
 1年次は、炭焼体験活動の実践により、働くことでものを作り、お金を得ることができるということを子どもたちは印象深く実感することができた。むだをなくし、ものを有効に使うことがくらしやすい環境をつくるために大切だということにも気づくことができた。
 2年次は、むだづかいをなくし、お金を計画的に使う態度が身につくように、買い物体験活動に重点を置いた取り組みだった。子どもたちの感想に見られるように、そのねらいは達成できたのではないかと考えている。
 2月の学習発表会では、保護者や地域の人たちに向けて、買い物体験を中心にした金銭教育のまとめを子どもたちが発表した。保護者からは、「日常生活での子どもたちの金銭感覚に向上が見られ、計画的にお金を使おうとする態度がよく身についてきた。とてもより取り組みができ、よかったと思う」など、本校の金銭教育を評価する意見が寄せられた。
 来年度以降も、保護者や地域の人たちとの連携を取り、子どもの生活全体を見つめながら、お金やものを大切にする態度の育成のため、金銭教育を取り入れた実践を継続していきたい。
 

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