●令和5年度徳島県立池田高等学校定時制課程
 
 ≪研究主題≫
  
Let's 金トレ( Financial Training )
     ~全校生徒13人で鍛える金融リテラシー
 
 主題設定理由
 
4年度を御覧下さい。
 研究目的
 
 2年目は、応用金融知識の深化させるため、学んだ基本的な金融リテラシーをさらに発展させ、金融商品や投資戦略、リスク管理、資産運用など応用的金融知識についての理解を深める。また、金融活動が個人だけでなく、社会や環境に与える影響を理解し、SDG’sなど倫理的な金融行動の重要性を学ぶとともに、個人のキャリアや生活計画における金融目標の設定と達成方法について理解を深める。そして、グローバル化が進む中で、国際金融市場や為替レートの動き、国際的な経済政策が個人の金融状況に及ぼす影響について学ぶ中で、お金の様々な働きを理解し、自分の暮らしや取り巻く社会環境について深く考え、自分の生き方や価値観を磨きながら経済的・心理的により豊かな自立した生活や、よりよい社会づくりに向けて主体的に行動できる知識や態度、思考力や判断力などの金融リテラシーを生徒に育成する。
 1年目を受けての研究目標
○財務的自立に向けた生きる力の向上:
 自分自身の将来の財務目標(例:大学教育、住宅購入、早期退職)を設定させ、それを達成するための具体的な計画を立てることができるようになる。また、突発的な経済的危機や緊急事態(例:失業、健康問題)に備えた資金計画とリスク管理の重要性を理解できるようになる。
○金融知識・スキルの向上:
 デリバティブや仮想通貨などの新しい金融商品に関する知識を提供し、これらが市場にどのように影響を与えるかを理解できるようになる。また、世界経済のトレンド、国際金融市場、世界的な経済危機のケーススタディを通じて、グローバルな視点から金融を理解できるようになる。
○消費者問題への対応力の向上:
 デジタル時代の消費者保護に関する課題(例:オンライン詐欺、個人データの保護)について考察して安全にオンラインで活動できるようになる。また、エシカル消費やサステナビリティについての意識を高め、自分たちの消費行動が地球環境や社会にどのような影響を与えるかを理解して行動できるようになる。
○社会人としてマナー・スキルの向上:
  ビジネスコミュニケーションやプレゼンテーションスキルを身につける。また、職場での倫理とプロフェッショナリズムについて理解を深め、信頼できる社会人としての立ち居振る舞いができるようになる。さらに、民主主義の理念に沿って生徒個人が自身のキャリアを通じて社会に貢献する社会的責任やシティズンシップを理解できるようになる。
 
 本年度の取り組み
【1学期】
〈教科学習〉
◇情報科:「情報社会における法規と制度」
金融教育プログラムに該当する分野 消費者生活・金融トラブル防止に関する分野
利用教材・資料 「図説 情報Ⅰ(実教出版)」
指導方法・指導内容
 商品やサービス利用時における個人情報の取り扱いについて、著作権や産業財産権のような法規に触れながら、その重要性について理解を深めた。
◇情報科:「メディアリテラシー」
金融教育プログラムに該当する分野 消費者生活・金融トラブル防止に関する分野
利用教材・資料 「図説 情報Ⅰ(実教出版)」
指導方法・指導内容
 身の回りのメディアの情報を鵜呑みにすることなく、それぞれの特徴を理解して主体的に読み解く力が重要であることを理解した。
◇国語科:「課題作文を書く」
金融教育プログラムに該当する分野 キャリア教育に関する分野
利用教材・資料 「高等学校 改訂版 国語表現(第一学習社)」
指導方法・指導内容
 「私からみた『私』」という題で課題作文を書くことを通して、自分のものの考え方や能力・適性について知り、就職や進学試験において自分をアピールした。
◇国語科:「敬語の分類」
金融教育プログラムに該当する分野 キャリア教育に関する分野
利用教材・資料 「高等学校 改訂版 国語表現(第一学習社)」
指導方法・指導内容
 敬語の種類や適切な用法について知り、社会人や職業人として相手や場面にふさわしい言動を身につけた。
◇公民科:「社会とは何か」
金融教育プログラムに該当する分野 キャリア教育に関する分野
利用教材・資料 「詳述公共(実教出版)」
指導方法・指導内容
 民主主義の定義、重要性、個人の権利と責任などについて理解を深め、民主主義の理念に沿った自己決定や社会参画について多面的・多角的に考察した。
◇公民科:「現代日本の政治」
金融教育プログラムに該当する分野 キャリア教育に関する分野
利用教材・資料 「高校政治・経済新訂版(実教出版)」
指導方法・指導内容
 民主主義社会における個人の権利と責任、政治的プロセスへの参加がキャリア形成に及ぼす影響、そして社会的・経済的な意思決定における職業人としての役割などについて考察した。
 
〈学習研究〉
◇金融教育ホームルーム
金融教育プログラムに該当する分野 金融や経済の仕組みに関する分野
利用教材・資料 「株式会社制度と証券市場のしくみ(金融・証券教育支援センター)」
指導方法・指導内容
 日本証券業協会と連携し、株式会社制度と証券市場の仕組みについて学ぶとともに、金融リテラシーについて理解を深めた。
生徒の反応 ・「株式会社がどのように機能し、証券市場が経済にどのように影響を与えるのかを理解できたのが本当に興味深かったです。将来的に自分のお金をどのように管理していくべきかについて、具体的なイメージが持てるようになりました。」

・「金融というのは難しくて遠い世界の話だと思っていたけど、話を聞いて自分にも関係があると気づきました。特に、投資とリスク管理の部分が気になりました。」


・「株式や証券市場についてのニュースを見ると、以前は何を言っているのかさっぱり分かりませんでしたが、お話を聞いて少しはわかった気がします。」


・「将来のために資産をどう増やしていけばいいのか、またそのためにはどういう知識が必要なのかが分かり、すごくモチベーションが上がりました。」


・「証券市場の仕組みを勉強して、経済のニュースがより身近に感じられるようになりました。これからはより意識して情報を集めたいと思います。」


・「新NISA制度についてとても興味がわきました。貯金しているよりも資産を増やすことができるようですが、もう少しリスクの勉強もして考えたいです。」
◇ビジネスマナー教室
金融教育プログラムに該当する分野 キャリア教育に関する分野
利用教材・資料 「オリジナル教材・資料」
指導方法・指導内容
 地域のマナー講師と連携し、好印象に始まり、好印象に終わるための他者との接し方など、社会人としての立ち居振る舞いについて考え、好感度アップの方法やマスク時代に必要な伝え方について模擬面接などを通して理解を深めた。
生徒の反応 ・「マスクをしている今の時代に、非言語コミュニケーションの重要性を再認識しました。講師の先生のアドバイスが具体的で、日常生活にもすぐに活かせそうです。」

・「メラビアン法則を知って第一印象の大切さがわかりました。普段意識していなかった細かな立ち振る舞いが、相手に与える影響について考えさせられました。」

・「自分のコミュニケーションについて振り返る良い機会になりました。特に、マスクを着用しているときの表情の伝え方や、目の使い方が役立ちそうです。」

・「マナー講師の方から学んだことをアルバイトで実践してみようと思います。今までちゃんと報・連・相ができていなかったです。」

・「何も考えずに挨拶していたけど、これからは正しく挨拶したいです。正しい姿勢はある程度の筋力がついてないとできないと感じました。」

〈校外学習〉
◇中央銀行について学ぶ
金融教育プログラムに該当する分野 生活設計・家計管理に関する分野
金融や経済の仕組みに関する分野
消費者生活・金融トラブル防止に関する分野
キャリア教育に関する分野
利用教材・資料 「オリジナル教材・資料」
指導方法・指導内容
 日本銀行と連携し、物価の安定と金融システムの安定を達成するために業務を行っている、銀行の銀行・発券銀行・政府の銀行といわれている中央銀行について学んだ。そして、日本円の発行プロセス、偽造防止技術、現金の流通管理方法などについても学んだ。さらに、経済指標やデータがどのように収集、分析されるか、これらがどのように金融政策の策定に役立てられるかについても学んだ。全体的に経済全体の仕組みや、中央銀行がなぜ重要なのか、どのように経済に影響を与えるのかについての基本的な理解を深めた。
生徒の反応 ・ 「日本銀行の役割や日本経済におけるその重要性を学ぶことができ、金融や経済への理解が深まりました。特に、金融政策がどのように国の経済に影響を与えるかが興味深かったです。」

・「日本銀行券の偽造防止技術は今までよくわかっていなかったけど、ルーペや紫外線照射器などを使って偽札の見分け方を知れてよかった。」

・「日本銀行特有のお札の数え方があるのがおもしろかった。やはり専門家の数え方は紙幣をめくりやすかった。」

・「日本銀行が金融市場でどのような役割を果たしているかを知り、地域経済と日本経済とのつながりを学ぶことができました。」

・「通貨発行やインフレ率の管理など、日本銀行の具体的な業務について学んで、金融政策への興味がわきました。」

・「日本銀行で働く人々の話を聞いて、将来金融分野や経済学に関わる仕事に就けたら楽しいだろうなと思った。」
 
【2学期】
〈教科学習〉
◇情報科:「データの活用」
 
金融教育プログラムに該当する分野 社会人としてのマナー、スキルの向上
利用教材・資料 「図説 情報Ⅰ(実教出版)」
指導方法・指導内容
 限られたデータや資料から図やグラフなどを作成し、社会で必要とされる視覚的にデータを分析する力を身につけた。
◇国語科:「手紙を書く」
金融教育プログラムに該当する分野 キャリア教育に関する分野
利用教材・資料 「高等学校 改訂版 国語表現(第一学習社)」
指導方法・指導内容
 手紙の種類や書き方を知り、社会人として相手や場面にふさわしい手紙を書いた。
◇家庭科:「食べるということ」
  
金融教育プログラムに該当する分野 消費者生活・金融トラブル防止に関する分野
利用教材・資料 「家庭基礎 つながる暮らし 共に創る未来(教育図書)」
指導方法・指導内容
 食品添加物、輸入食品、環境汚染など、身近な食品の安全性について問題があることに気づかせ、消費者としての食生活について考察した。
◇数学科:「経済と数学」
金融教育プログラムに該当する分野 消費者生活・金融トラブル防止に関する分野
利用教材・資料 「数学活用(実教出版)」
指導方法・指導内容
 タブレット端末を活用して宝くじの当選確率や金利の計算を行い、福引の賞金と期待値、単利法や複利法の仕組みなどについて理解を深めた。
◇公民科:「日本の政治機構と政治参加」
金融教育プログラムに該当する分野 キャリア教育に関する分野
利用教材・資料 「詳述公共(実教出版)」
指導方法・指導内容
 民主主義社会における個人の権利と責任、政治的プロセスへの参加がキャリア形成に及ぼす影響、そして社会的・経済的な意思決定における職業人としての役割などについて考察した。
◇公民科:「現代経済のしくみ」
金融教育プログラムに該当する分野 生活設計・家計管理に関する分野
金融や経済の仕組みに関する分野
利用教材・資料 「高校政治・経済新訂版(実教出版)」
指導方法・指導内容
 国民所得と経済成長、金融の機能と銀行や証券会社の役割、租税制度と財政改革の課題など、家計にも関わる市場や金融の仕組みや課題について考察した。
〈学習研究〉
◇金融教育リモート講演会
金融教育プログラムに該当する分野 金融や経済の仕組みに関する分野
利用教材・資料 「オリジナル教材・資料」
指導方法・指導内容
 実業家とリモートで連携し、貯める前に知っておきたい正しいお金の使い方などについて理解を深めながら、社会で必要とされる金融リテラシーについて学んだ。
生徒の反応 ・「実業家から直接話を聞けたことで、ただお金を貯めるだけでなく、どう使うかが重要だということが理解できました。将来のためにも、今から賢いお金の使い方を始めたいと思います。」

・「お金の使い方について学ぶことで、自分の将来に対する不安が少し和らぎました。特に、投資や節約に関するアドバイスがとても役に立ちそうです。」


・「実際に経験豊富な実業家の方と話すことで、理論だけでなく現実の金融の世界についても深く理解することができました。自分のお金をどう管理すればいいのか、もっと勉強したいと強く感じました。」


・「今回学んだことは、学校の授業では得られない実践的な知識だと感じました。今後、自分への投資を意識したいです。」

・「お金に関する知識が増えただけでなく、将来自分の店を持ちたいという夢に向けても第一歩を踏み出せた気がします。」
◇ビジネスマナー教室
金融教育プログラムに該当する分野 キャリア教育に関する分野
利用教材・資料 「オリジナル教材・資料」
指導方法・指導内容
 地域のマナー講師と連携し、社会人としての心構え、社会人としてのマナーの基本、社会人としてのコミュニケーション術などについて理解を深めた。
生徒の反応 ・ 「マナー講座を受けて、初対面の人と会話する際のコツを知ることができ、社会に出てとても役立ちそうだと感じました。」

・「日常生活では気づかなかった細かなマナーがわかりました。礼儀正しさが、相手に与える印象を大きく左右することを学び、心から感謝しています。」

・「この講座を通じて、社会人としてのコミュニケーション術の重要性に気づきました。相手の立場を考えた上での話し方や聞き方が、円滑な人間関係を築く鍵だということがよくわかりました。」

・「最初は、マナーや社会人としての心構えなど、少し堅苦しいと感じていましたが、講座を受けてみると、日常生活や将来の職場でも絶対に役立つ知識ばかりでした。自分の成長につながると思いました。」

・「講師の方から教わった、具体的なエピソードや実践的なアドバイスが印象的でした。理論だけでなく、実際に使える知識を得られたことで、社会に出る準備をしているのだなと感じました。」
◇成果発表会
金融教育プログラムに該当する分野 金融や経済の仕組みに関する分野
消費者生活・金融トラブル防止に関する分野
指導方法・指導内容
 SDG’sやESG投資、地産地消、地域振興などについての学習研究を通して学んだ学習成果を学校全体で共有し、深い学びにつなげた。
生徒の反応 ・ 「SDG’sやESG投資について学ぶことで、経済活動が地球環境や社会にどのような影響を与えるかがよく理解できた。自分の将来の職業選択や消費行動にも、これらのことを考慮するようになると思う。」

・「地産地消や地域振興の取り組みを学ぶことで、私たちの小さな行動が地域社会や環境に良い影響を与えることができると感じました。地元の農産物を積極的に買ったり、地域のイベントに参加したりすることの重要性を実感した。」

・「どの発表も個性的で、聞いていてとても楽しかったし、勉強になりました。」

・「地域の食材をいろいろ会いじみしてみましたが、食べたことがないものばかりでした。思っていたより結構おいしかったです。」

・「SDG’sやESG投資に関して勉強して自分たちの行動一つ一つが、地球の未来を形作る上で重要な役割を果たしていると感じ、行動を改めようと思いました。」
◇成果展示
金融教育プログラムに該当する分野 金融や経済の仕組みに関する分野
消費者生活・金融トラブル防止に関する分野
キャリア教育に関する分野
指導方法・指導内容
 学習研究を通して学んだ学習成果を学校祭で展示し、地域社会で共有して消費者トラブル防止の啓発や金融の基礎知識や金融リテラシーの啓蒙などにつなげた。
観覧者の反応 ・「生徒たちがこんなにも金融知識に詳しいとは驚きました。彼らから消費者トラブル防止のための具体的なアドバイスをもらい、とても役に立ちました。」

・「学校祭でのこの展示を見て、地域の若者が地域社会のために積極的に貢献していることを知り、非常に感動しました。」

・「定時制でこんなに実用的なことを学んでいるとは思いませんでした。皆さん働きながら勉強して本当に素晴らしいです。これからも頑張ってください。」

・「掲示物がすごくよくまとまっていてすごいです。美術作品も本当に上手に作成していて驚きました。」

・「展示を通じて、日頃私たちが気づかない地域のことを知ることができてとても新鮮でした。クイズも面白かったです。」

・「SDG’sの具体的な取り組みを理解できてよかったです。展示がとても見やすくてわかりやすかったです。」

◇事業所見学
金融教育プログラムに該当する分野 キャリア教育に関する分野
金融や経済の仕組みに関する分野
利用教材・資料 オリジナル教材・資料
指導方法・指導内容
国立研究開発法人と連携し、新しい技術や製品の開発に向けた研究がどのように進められ、研究成果が社会や産業にどのように応用されているか知り、働くことの意義について理解を深めるとともに、研究所での仕事や役割について学ぶことにより、職業に対する理解を進め、自分自身のキャリアパスや職業人としての在り方について考えた。さらに、実際の研究課題について学び、それらがどのようにして解決されるかを見ることで、自分たちの探究活動への参考にする。
生徒の反応 ・「国立研究開発法人で行われている最先端の研究を学ぶことで、私たちの生活や社会に大きな変化をもたらす新しい技術の可能性にワクワクしました。」

・「技術がどのようにしてアイデアから製品化されるのかを知ることができ、将来自分もこのような革新的な仕事に関わりたいと思いました。」


・「研究成果がどのように社会や産業に応用されるのかを知ることができてとても興味深かった。科学技術が私たちの日常生活に深く関わっていることを実感できた。」


・「研究がどのように社会の問題解決に貢献しているのかを学ぶことで、科学技術の進歩が人々の生活を向上させ、環境問題などの解決にも影響していることを実感しました。仕事の意義をより深く理解することができました。」


・「学校の近くに国の機関の研究所があることまず驚いた。理科に興味があるので研究者にはなれないと思うけど、将来は何か社会の役に立つ仕事につきたいです。」


・「全国に産業技術総合研究所があることが知れて良かったです。ものすごく小さな人間の臓器の一部などを特殊な3Dプリンターで作っている様子を見学できてとても感動しました。何歳まで長生きできるか楽しみです。」
 
【3学期】
〈教科学習〉
◇情報科:「情報デザインと表現の工夫」
金融教育プログラムに該当する分野 社会人としてのマナー、スキルの向上
利用教材・資料 「図説 情報Ⅰ(実教出版)」
指導方法・指導内容
 発信者の意図や目的が受信者に伝わる表現方法を理解し、さまざまなコンテンツの作成方法を考察した。
◇国語科:「故事成語 矛盾」
金融教育プログラムに該当する分野 キャリア教育に関する分野
利用教材・資料 「高等学校 新編 言語文化(第一学習社)」
指導方法・指導内容
 漢文「矛盾」を読むことを通して、現代で使われている言葉が漢文に由来していることを知り、昔の人々のものの見方・考え方について自分の考えを述べた。また、言葉を用いて表現すること、コミュニケーションを図ることの意義について考えた。
◇家庭科:「かしこい消費者になろう」
金融教育プログラムに該当する分野 消費者生活・金融トラブル防止に関する分野
利用教材・資料 「家庭基礎 つながる暮らし 共に創る未来(教育図書)」
指導方法・指導内容
 身近なものやサービスの購入について情報の収集を行い、契約の意義や消費者保護の施策についても理解を深め、消費者トラブルへの対応について考察した。
◇家庭科:「何をどうやって買う?」
金融教育プログラムに該当する分野 生活設計・家計管理に関する分野
利用教材・資料 「家庭基礎 つながる暮らし 共に創る未来(教育図書)」
指導方法・指導内容
生活情報を活用した意思決定について考え、契約の重要性を気づき、消費者信用の仕組みなどについて理解を深めた。
◇公民科:「現代経済と福祉の向上」
金融教育プログラムに該当する分野 金融や経済の仕組みに関する分野
消費者生活・金融トラブル防止に関する分野
利用教材・資料 「高校政治・経済新訂版(実教出版)」
指導方法・指導内容
戦後復興と経済成長、日本の経済停滞と再生、消費者主権や消費者政策の変化などへの関心を高め、現代社会の経済や消費者問題の特質について考察した。
◇公民科:「国際経済の動向と課題」
金融教育プログラムに該当する分野 金融や経済の仕組みに関する分野
消費者生活・金融トラブル防止に関する分野
利用教材・資料 「詳述公共(実教出版)」
指導方法・指導内容
 金融教育を通じて、個人が責任ある投資や消費の選択を行い、持続可能な経済成長と公平な社会の実現に貢献する方法などについて考察した。
〈学習研究〉
◇金融教育ホームルーム
金融教育プログラムに該当する分野 消費者生活・金融トラブル防止に関する分野
利用教材・資料 「オリジナル教材・資料」
指導方法・指導内容
 SMBCグループとリモートで連携し、ライフプラン・資産運用を考える大切さやワークショップなどを通して、投資における正しい基礎知識について理解を深めた。
生徒の反応 ・「資産運用とはただお金を増やすことだけではなく、将来の夢や目標を実現するための大切なステップだとわかりました。」

・「投資の世界は複雑で難しいものだと思っていましたが、このワークショップで基礎から学ぶことができ、少し理解できた気がしました。」


・「リスク管理について学んだことが印象的で、将来自分のお金を賢く運用するための第一歩になったと感じます。」


・「めんどうでなかなか長期的なお金について考えられなかったけど、今回初めてライフプランを立ててみると以外に楽しかった。」


・「自分の夢や目標を明確にして、それを達成するために資産運用がどう役立つかを学ぶことができました。投資についてもっと知りたいと思いました。」


・「投資について学ぶことは、ただの知識の習得以上のものでした。自分の将来に対する責任を持ち、賢く行動することの大切さを教えてくれました。」


・「今日のお話は将来の資産形成だけでなく、日々のお金の管理にも役立ちそう。」
◇租税教室
金融教育プログラムに該当する分野 金融や経済の仕組みに関する分野
利用教材・資料 「やさしい税金教室(日本税理士会連合会)」
指導方法・指導内容
 税の役割や申告納税制度の意義、納税者の権利や義務、インボイス制度などについて理解を深めながら、納税者として社会や国の在り方を考察した。
生徒の反応 ・「税金の役割や申告納税制度について学ぶことで、社会や国の運営に貢献する納税者の重要性がよく分かりました。」

・「納税者の権利と義務について理解を深められ、より責任ある市民になるための知識が身につきました。」

・「インボイス制度の説明が特に興味深かったです。税金がどのように徴収され、使われているのかを具体的に知ることができました。」

・「税金に対する見方が変わりました。ただ支払うものではなく、社会貢献の一環として捉えることができるようになりました。」

・「やさしい税金教室を使った授業で、複雑な税の仕組みを分かりやすく理解することができ、将来への不安が減りました。」
◇成果展示
金融教育プログラムに該当する分野 金融や経済の仕組みに関する分野
消費者生活・金融トラブル防止に関する分野
指導方法・指導内容
学習研究を通して学んだ学習成果を地域のショッピングモールで展示し、地域社会で共有して消費者トラブル防止の啓発や、SDG’s、金融の基礎知識や金融リテラシーの啓蒙などにつなげた。
観覧者の反応 ・「展示を見て、普段意識していなかった社会問題について知ることができた。どれも地域に関係する内容で、とても役立つ知識を得られた。」

・「SDG’sに関する展示を通じて、地球規模の問題に私たち一人ひとりがどう関わっていくべきかを改めて考えさせられた。小さな行動が大きな変化を生むことができると感じ、日々の選択を見直そうと思う。」

・「このような展示を地元のショッピングモールで行うことで、地域で学ぶ機会を持てたのは素晴らしいと思う。年をとっても勉強できた。」

・「地域の特産品についての展示は特に興味深かった。私も地域でとれたものだと安心して消費できる。」

・「展示のデザインや視覚的に工夫されていて見ていて楽しかった。内容も理解しやすく、興味を引かれるものだった。」
・「地域のことを良く調べていて感心した。私は昔の日本たばこ産業で働いていたので、地域の産業についても知ってほしい。」

 実践2年間の成果と課題
   1年目は、アンケートで「学校で金融教育を始めてから金融に関する理解が深まった」と肯定的に答える生徒の割合が60%と決して高い数字ではなかったが、「金融について学校で学習する以前は関心が低かった」と回答する生徒の割合が80%であったことを考慮すると一定の成果を得られたと考える。そして、学習展の地域や保護者などからの評価は高く、称賛や激励の感想が多く見られた。また、今年度の金融に関する学習を通して生活設計・家計管理(将来に向けた計画的な預貯金や資金の運用など)、お金の計画的な使い方などについて適切に実践できる自信があると肯定的に答えた生徒の割合は46%と高くはなかったが目標達成に一定の示唆を与えることはできたと考える。

 2年目においても同アンケートを実施し、「学校で金融教育を始めてから金融に関する理解が深まった」と肯定的に答える生徒の割合が88%(1年目:60%)と数値が上昇し、教育実践研究の成果が垣間見えた。「金融について学校で学習する以前は関心が低かった」と回答する生徒の割合は2年目が50%(1年目:80%)に変化したことを考慮すると2年間の教育実践の一定の成果を得られたと考える。そして、学習展の地域や保護者などからの評価は両年高く、称賛や激励の感想をたくさん得られたことは教育活動の励みになった。また、1年目のアンケートで金融に関する学習を通して生活設計・家計管理(将来に向けた計画的な預貯金や資金の運用など)、お金の計画的な使い方などについて適切に実践できる自信があると肯定的に答えた生徒の割合は46%と高くはなかったが、2年目のアンケートでは88%と数値が上昇し、一定の目標に到達できたことは、継続的な金融教育の意義を証明できたと考える。さらに、1年目は市中銀行、2年目は日本銀行の実際の運営を見学することができ、教科書では学ぶことができない実践的な金融知識を得ることができた。特に、日本銀行が社会に果たす役割やインフレ目標達成のための金融政策、市中銀行の役割や業務運営などが具体的に理解できた。また、日本銀行の金融政策や通貨政策の決定過程を専門家から学ぶことにより、マクロ経済における中央銀行の重要性の認識にも繋がった。そして、市中銀行の業務や戦略を知ることにより、現在の金融業界が直面している課題やSDG’sやESG投資などのトレンドも理解することができた。以上のことから、実践1年目は金融について生徒の関心を高め、ある程度の知識の理解を深めることができ、実践2年目はこの度の研究目標で重視していたお金の様々な働きの理解や、経済的・心理的により豊かな自立した生活設計に向けた主体的な行動、実践できる知識や態度、思考力や判断力などの金融リテラシーの習得について確かな前進を感じることができた。

 2年間の実践を通して感じた課題としては、金融や財政の概念や、金融用語が難解であり、一定レベルまで理解するには時間がかかることである。また、ロジカルに自己の将来を想像することの困難さもあるため、金融に関してより丁寧な説明の必要性や、身近なところから生活の中のお金の動きをイメージできるような工夫の必要性も実感した。投資についても、必ず利益が得られるものではなく、ギャンブル的な危険性が高い商品もあるが、金融や経済などの理解を深めれば自己の人生を豊かにするものでもあるため、十分配慮しながら情報を提供する必要性を感じた。体験的な学習についても、通常の授業で知識を広げるだけでは机上の空論になってしまい、金融の実践的なスキルが身に付きにくいため、事業所や専門機関と連携した教育カリキュラムを推進するなど、地域社会や企業との連携も進め、生徒が何らかの形で実際の金融活動に参加し、金融に関する社会経験を積む機会を創出することが重要になると考える。1年目の実践の反省を熟考しながら本校の金融教育をブラッシュアップして2年目の実践に繋げたが、数値を見る限りでは2年目の実践において一定の改善の成果が見られたものの、短期的に大きく改善することは容易ではなく、高い壁の存在を実感した。

 今後は、2年間にわたる金融教育の実践研究で得た知識や経験を理論的な枠組みとして統合し、経済や政治へのより深い理解を目指して日々の授業や特別活動などの教育内容に繋げていきたい。また、金融が社会において果たすべき倫理的な役割や社会的必要性について考え、自分たちの人生や家計との関係を実感できるように教育活動全体を通して生徒自身に考察させていきたい。そして、金融市場や経済環境は常に変化しているため、生徒が習得した知識やスキルを最新の状態にアップデートし続ける必要があり、FinTechやデジタル通貨など、新しい金融商品やテクノロジーの進化に伴う新しい課題や消費者トラブルへの理解と対応方法の指導などにおいても日々アップデートが求められることから、金融教育のカリキュラムを常に見直し、日々進歩し続ける情報社会とそれに伴う金融経済に教職員が高い関心を持って研鑽に励み、今後も継続的にこの度の教育実践研究を基盤に金融教育をさらに深化させ、身近な実社会における金融の役割や課題から着目し、生徒が現代の変化の激しい社会を逞しく生き抜くために必要と考える金融リテラシーの育成に今後も尽力していきたい。
  
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