●令和4年度徳島県立池田高等学校定時制課程
 
 ≪研究主題≫
  
Let's 金トレ( Financial Training )
     ~全校生徒15人で鍛える金融リテラシ
 
 主題設定理由
 
 本校は県西部に位置する夜間定時制高校である。全校生徒は4学年合わせて15名と非常に規模が小さく、多くの人々とコミュニケーションを図る機会が少ない上、 社会経験を積む機会に乏しくなる傾向がある 。 そのような生活能力を効率的に身に付けることが困難な環境において、これまで生徒と関わる中で、よりよい家計や持続可能な社会に向けた消費者としての意識、将来を見据えた生活設計への関心の低さが窺えた 。また、学校での教育実践としては、家庭科や公民科において、金融や財政、消費者問題などについてある程度学習を進めてきたが、金融教育においては特定の教科の指導に偏りがあり、学校教育以外の家庭や地域社会との連携も希薄であった。
  これらの現状を踏まえ、国内外の様々な問題に起因する先行き不透明な現代社会において、生徒の将来に危機感を抱いた。そして、今後は金融教育を教育活動全体の課題として捉え、学校・家庭・地域社会の連携を密に図りながら、ICTを活用した金融教育を充実させ、生徒一人ひとりの豊かな人生や新たな価値観の創造、生徒たちの自己実現や進路実現に向けた主体的で深い学びへの取組が必要であることを実感し、現代の変化の激しい社会を逞しく生き抜くために重要と考える金融リテラシーをより一層生徒に育むため本主題を設定した。


 研究目的
 
 消費者として自己の権利と役割を理解し、健全な消費行動と意思決定ができる力を身に付け、主体的な選択と行動を通じて、消費者と事業者との間の情報の質及び量などに起因する消費者被害を回避し、生徒の現在及び将来に向けた消費生活の安全・安定の確保と向上を目指す。そして、お金の様々な働きを理解し、自分の暮らしや取り巻く社会環境について深く考え、自分の生き方や価値観を磨きながら、経済的・心理的により豊かな自立した生活や、よりよい社会づくりに向けて、主体的に行動できる知識や態度、思考力や判断力などの金融リテラシーを生徒に育成する。

 研究目標
 
 教科学習において、家庭科や公民科を中心に、お金や金融の仕組み、自分の暮らしや将来の生活設計・家計管理 、自分と社会との消費による関わりなどについて理解を深める。さらに、大学・地域社会、その他専門機関と連携した総合的な探究の時間における、総合的・横断的な課題研究及び体験的学習などを交えながら、自ら課題を見つけ、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決するための金融に関する資質や能力の向上を図る 。
  ○財務的自立に向けた生きる力の向上:
生徒が自分自身や家族を支えるために必要な資金を管理し、貯蓄することができるようになる。
○金融知識・スキルの向上:
 生徒が金融市場での取引や投資などを行うために必要な知識やスキルを身に付け、リスク管理を行うことができるようになる。
○消費者問題への対応力の向上:
 生徒が金融商品やサービスを利用する際に、適切な知識を持って判断し、自分自身を守ることができるようになる。
○社会人としてマナー・スキルの向上:
 生徒が社会で求められるマナーやビジネススキルを習得し、将来職場で必要なコミュニケーション能力や職務遂行能力を高める。
 
 本年度の取り組み
【1学期】
〈教科学習〉
◇家庭科:「自立した消費者とは」 
金融教育プログラムに該当する分野 消費者生活・金融トラブル防止に関する分野
利用教材・資料 「家庭基礎ともに生きる明日をつくる(教育図書)」
指導方法・指導内容
 身近なものやサービスの購入について情報の収集を行い、契約の意義や消費者保護の施策についても理解を深め、消費者トラブルへの対応について考察した。
◇英語科:「Shopping at a Flea Market」  
金融教育プログラムに該当する分野 消費者生活・金融トラブル防止に関する分野
利用教材・資料 「COMET English Communication (数研出版)」
指導方法・指導内容
 フリーマーケットでの買い物の表現を使った英語の対話について考え、相手にわかりやすいコミュニケーションの仕方などについて考察した。
◇公民科:「社会を作る私たち」
金融教育プログラムに該当する分野 キャリア教育に関する分野
利用教材・資料 「詳述公共(実教出版)」
指導方法・指導内容
 他者との協働により当事者として国家・社会などの公共的な空間を作る存在であることについて多面的・多角的に考察した。
 
〈学習研究〉
◇金融教育ホームルーム
金融教育プログラムに該当する分野 金融や経済の仕組みに関する分野
利用教材・資料 「日本の財政を考えよう(財務省)」・「日本の財政関係資料(財務省)」
「これからの日本のために財政を考える(財務省)」
指導方法・指導内容
 財務省四国財務局と連携し、タブレット端末を活用したグループワークを通して国家財政について考える中で、人生・家計・経済などの社会のお金のつながりをアクティブ・ラーニングで理解を深めた。
生徒の反応 ・「国の財政が私たちの生活に密接に関わっていることがよく分かりました。タブレットでのグループワークが楽しかったです。
 

・「財政って難しそうと思っていましたが、今日の話を聞いたら身近な問題だと感じました。」
 
・「人によって国家政策で大切にすることや、何にお金を使うかなどがみんな違い、多様な視点から財政を考えることができてとても有意義でした。」

 
・「この授業で学んだ財政の知識は、個人のお金の管理にも役立つと思った。
 
・「内閣総理大臣になって大きなお金を動かしてみたいと思った。」

 
・「財務省の資料を使った学習で、具体的なデータをもとに理解が深まりました。」
◇ビジネスマナー教室
金融教育プログラムに該当する分野 キャリア教育に関する分野
利用教材・資料 「オリジナル教材・資料」
指導方法・指導内容
 地域のマナー講師と連携し、好印象に始まり、好印象に終わるための他者との接し方について考え、好感度アップの方法やマスク時代に必要な伝え方について模擬面接などを通して理解を深めた。
生徒の反応
生徒の反応 ・「模擬面接をじて、第一印象の大切さがよく分かりました。私は人の目を見て話すのが苦手ですが、頑張ってやってみようと思います。」
 
・「マスクをしていても伝わるコミュニケーションのコツを知ることができ、とても役立ちそうです。」

・「人から近寄りがたい雰囲気があると言われたことがあるので、他者との接し方で好感度を上げる方法を学べたのが良かったです。」

・「マナーはいろいろあって大変だなと思っていたけど、相手に好印象を与えるための心構えだと教えてもらって発想の転換ができた。」

・「実践的なマナー教育で、社会に出る前に必要なスキルを
身につけられた。例も簡単と思っていたけど意外に奥が深いと
思った。」
〈校外学習〉
◇市中銀行について学ぶ
金融教育プログラムに該当する分野 生活設計・家計管理に関する分野
金融や経済の仕組みに関する分野
消費者生活・金融トラブル防止に関する分野
キャリア教育に関する分野
利用教材・資料 「オリジナル教材・資料」
指導方法・指導内容
 阿波銀行と連携し、預金業務や貸出業務、為替業務など、業務内容について理解を深め、社会のお金の大きな流れとの関わりの中で個人の生活設計や家計管理も学んだ。
生徒の反応 ・ 「銀行内部の仕組みや、さまざまな金融サービスについて学べて非常に興味深かったです。特に、ローンや投資に関する話がおもしろかったです。」

・「新設された阿波銀プラザは銀行というより、図書館やイベントスペースのような雰囲気があり、また立ち寄りたいと思った。」


・「銀行員の方々がどのように顧客と対応しているのかを見て、将来金融業界で働くことに興味を持ちました。」

・「銀行がどのように顧客の財産を保護しているか、またセキュリティシステムがどのように機能しているかを学んだ。私も銀行口座を持っていて貯金しているので今日の話を聞いて自分のお金も守られていて安心した。」

・「銀行の金庫を初めて見て興奮した。一億円は思っていたより重かった。」
 
【2学期】
〈教科学習〉
◇家庭科:「食生活とは」
 
金融教育プログラムに該当する分野 消費者生活・金融トラブル防止に関する分野
利用教材・資料 「家庭基礎 ともに生きる 明日をつくる(教育図書)」
指導方法・指導内容
 食品添加物、輸入食品、環境汚染など、身近な食品の安全性について問題があることに気づかせ、消費者としての食生活について考察した。
◇数学科:「経済と数学」
金融教育プログラムに該当する分野 消費者生活・金融トラブル防止に関する分野
利用教材・資料 「数学活用(実教出版)」
指導方法・指導内容
 ローンという考え方やローンの返済には様々な種類があることについて理解を深めた。また、均等分割払いのしくみについても理解を深めた。
◇公民科:「経済活動の在り方と国民福祉」
  
金融教育プログラムに該当する分野 消費者生活・金融トラブル防止に関する分野
利用教材・資料 「高校政治・経済新訂版(実教出版)」
指導方法・指導内容
 多様な契約及び消費者の権利と責任、職業選択、雇用と労働問題、少子高齢社会における社会保障の充実・安定化などに関わる現実社会の事柄や課題について考察した。
〈学習研究〉
◇金融教育講演会
金融教育プログラムに該当する分野 金融や経済の仕組みに関する分野
利用教材・資料 「オリジナル教材・資料」
指導方法・指導内容
 実業家とリモートで連携し、銀行・生命保険会社・証券会社などの金融業界の裏側について理解を深めながら、お金の賢い使い方について学んだ。
生徒の反応 ・「金融業界の裏側を知れて、お金の使い方についてもっと考えたくなりました。」

・「金融とか経済ってものすごく難しいと思っていたけど、以外に話を聞いていておもしろいと思いました。賢い投資の第一歩を学べた気がします。」


・「お金を賢く使うコツを知れて、将来への不安が少し減りました。」

「金融業界の仕組みを学ぶことができ、単に貯金することに疑問を抱いた。」

・「リモートでの講演会でしたが、話がおもしろかったので集中して聞くことができました。お金に対する考え方が変わりそうです。」


・「実際の業界人からの話は、教科書には載っていないリアルな情報がいっぱいでした。自分の将来とお金の関係を真剣に考える良い機会になりました。」

・「投資についてはまだ不安なことがあるのでやるかどうかは分かりませんが、これから貯金は続けていこうと思いました。」

◇ビジネスマナー教室
金融教育プログラムに該当する分野 キャリア教育に関する分野
利用教材・資料 「オリジナル教材・資料」
指導方法・指導内容
 地域のマナー講師と連携し、社会人としての心構え、社会人としてのマナーの基本、社会人としてのコミュニケーション術などについて理解を深めた。
生徒の感想 ・「社会人としての基本的なマナーを学べて、自信がつきました。これからの進路に役立ちそうです。」

・「実際のマナー講師から直接学べるのが良かったです。社会人としての心構えについて考えさせられました。」


・「コミュニケーション術の部分が特に印象的で、人との接し方について新たな視点を得ました。」


・「今まで気づかなかった細かいマナーを知ることができ、今後の人生で役立てられると感じました。」


「プロのマナー講師からのアドバイスが具体的で、社会人になる準備ができた気がします。社会に出て生かしていきたいです。」

・「自己紹介トレーニングは恥ずかしかったけど、就職面接への良い練習になりました。話を聞いてもらう前に人の話をちゃんと聞くことの大切さを知りました。」

◇成果発表会
金融教育プログラムに該当する分野 金融や経済の仕組みに関する分野
消費者生活・金融トラブル防止に関する分野
指導方法・指導内容
 SDG’sやESG投資などについての学習研究を通して学んだ学習成果を学校全体で共有し、深い学びにつなげた。
生徒の反応 ・「SDG’sやESG投資について深く学べて、世界をより良くするために自分に何ができるか考えさせられました。」

・「全校生徒で成果を共有することで、他の人の研究も知ることができ、視野が広がった気がします。」

・「私には一緒に住むおばあちゃんがいますが、金融トラブルの防止について学んだことで、詐欺などでだまされないように自分や家族を守りたいと感じました。」

・「研究成果を発表することで、自分の理解がより深まり、自信にもつながりました。」

・「いろんな視点の話を聞いて、消費生活を見直そうと思いました。」

・「RESASを使って地域経済を分析するのが新鮮で、データの読み解き方が分かるようになったのが嬉しいです。」
◇成果展示
金融教育プログラムに該当する分野 金融や経済の仕組みに関する分野
消費者生活・金融トラブル防止に関する分野
指導方法・指導内容
 学習研究を通して学んだ学習成果を学校祭で展示し、地域社会で共有して消費者トラブル防止の啓発や金融の基礎知識や金融リテラシーの啓蒙などにつなげた。
観覧者の反応 ・ 「生徒の皆さんが金融リテラシーや消費者トラブル防止について深く理解していることに感心しました。これからも頑張ってください。」

・「若い世代がSDG’sやESG投資について学び、啓蒙活動に取り組んでいるのを知って日本の未来が良くなる希望を感じました。」


・「買い物帰りにたまたま展示を拝見させていただきましたが、自分自身の金融知識が深めることができて良かったです。詐欺についても気をつけたいと思います。」


・「地域社会に向けた学生の取組が展示されていたので大変いいことだと思いました。金融教育の重要性を再認識できました。若者にはもっと元気に地域で活躍してもらいたいです。次の学習展も楽しみにしています。」

・「子どもたちが提示してくれた金融や消費者問題の知識は私にとってはとても新鮮で、大人も学ぶべき点が多いと感じました。」


・「SDG’sは自分の中で今めちゃくちゃホットな話題なので、その知識が得られたのはとても良かった。」

 
【3学期】
〈教科学習〉
◇成果展示
金融教育プログラムに該当する分野 生活設計・家計管理に関する分野
利用教材・資料 「家庭基礎 ともに生きる 明日をつくる(教育図書)」
指導方法・指導内容
 家族の生活の場について考え、住居に対する要求が、家族構成、ライフステージ、生活の価値観などによって異なることなどについて理解を深めた。
◇国語科:「人はなぜ仕事をするのか」
金融教育プログラムに該当する分野 キャリア教育に関する分野
利用教材・資料 「現代の国語(第一学習社)」
指導方法・指導内容
 『人はなぜ仕事をするのか』を読解し、本文で使われている「パス」という言葉の意味を考え、筆者が述べる仕事の本質について考察した。
◇公民科:「経済活動の在り方と国民福祉」
金融教育プログラムに該当する分野 金融や経済の仕組みに関する分野
利用教材・資料 「高校政治・経済新訂版(実教出版)」
指導方法・指導内容
 世界恐慌や日本のバブル経済崩壊、通貨危機やリーマン・ショックへの関心を高め、グローバル社会の経済や金融の特質について考察した。
〈学習研究〉
◇金融教育ホームルーム
金融教育プログラムに該当する分野 消費者生活・金融トラブル防止に関する分野
利用教材・資料 「オリジナル教材・資料」
指導方法・指導内容
 SMBCグループとリモートで連携し、消費生活に関する基礎知識について理解を深めながら、「成年年齢引下げ」に伴う消費者の自立と責任について学んだ。
生徒の反応 ・「成年年齢が引き下げられることで自分たちの責任が増えることを理解できました。消費生活についての基礎知識が役立ちそうです。」

・「リモートでしたが専門家の説明は大変わかりやすかったです。自立するための知識を得られて良かったです。」

・「消費者としての自立と責任について考えさせられました。これからの生活に活かせる知識を得られて嬉しいです。」

・「消費生活におけるトラブル防止の知識が身についたと思います。でも、ニュースを見ていると新たな手口の詐欺が増えているようなので、卒業しても自分で消費者問題について勉強していく必要があると思いました。」

・「成年年齢が下がってもしっかりとした消費者としての判断ができるようになることの重要性を学びました。」
◇租税教室
金融教育プログラムに該当する分野 金融や経済の仕組みに関する分野
利用教材・資料 「やさしい税金教室(日本税理士会連合会)」
指導方法・指導内容
 税の役割や申告納税制度の意義、納税者の権利や義務などについて理解を深めながら、納税者として社会や国の在り方を考察した。
生徒の反応 ・「税金の仕組みや役割を学ぶことで、納税の重要性がよく理解できましたが、庶民の生活大変なので減税を考えている政治家を選挙で選びたい。」

・「納税者としての権利や義務について知ることができ、社会の一員としての自覚が芽生えました。」


・「税金がどのように使われているのかを知り、自分も社会に貢献している実感がわいてきました。」


・「申告納税制度について詳しく学べました。将来自分の店を出すのが夢なので、その際には税理士さんに相談しようと思います。」


・「税金の基礎知識を学ぶことで、社会や国の仕組みについて深く考える機会になりました。私たちの生活が税金で成り立っていることがわかりました。でも、もっと税金の使い道はよく考えてほしいです。」


・「ガソリンが高くて困っているのでガソリン税を下げて欲しい。」
◇成果展示
金融教育プログラムに該当する分野 金融や経済の仕組みに関する分野
消費者生活・金融トラブル防止に関する分野
指導方法・指導内容
 学習研究を通して学んだ学習成果を地域のショッピングモールで展示し、地域社会で共有して消費者トラブル防止の啓発や、金融の基礎知識や金融リテラシーの啓蒙などにつなげた。
生徒の反応 ・「学生たちが研究した金融リテラシーや消費者トラブル防止の情報は、とても役立つ知識だと感じました。地域で共有することの大切さを実感しました。」

・「若い世代がこんなにも金融教育に興味を持って取り組んでいるのを見て、とても感心しました。彼らの研究から多くを学びました。」


・「展示を通じて、日常生活で起こりうる金融トラブルに気をつける方法を学べて良かったです。実用的な情報が満載でした。」


・「子供たちが金融の基礎知識をわかりやすく展示していて、大人でも新たな発見がありました。もっと多くの人に見てほしい内容でした。」


・「展示を見て、金融教育の重要性を改めて感じました。特に、若者が自立して賢い消費者になるための情報が印象的でした。」


 実践1年目の成果と課題
   アンケートで、学校で金融教育を始めてから金融に関する理解が深まったと肯定的に答える生徒の割合が60%と決して高い数字ではなかったが、金融について学校で学習する以前は関心が低かったと回答する生徒の割合が80%であったことを考慮すると一定の成果を得られたと考える。そして、学習展の地域や保護者などからの評価は高く、称賛や激励の感想が多く見られた。また、今年度の金融に関する学習を通して生活設計・家計管理(将来に向けた計画的な預貯金や資金の運用など)、お金の計画的な使い方などについて適切に実践できる自信があると肯定的に答えた生徒の割合は46%と高くはなかったが目標達成に一定の示唆を与えることはできたと考える。
 以上のことから、実践1年目として金融について生徒の関心を高め、ある程度の知識の理解を深めることはできたが、一番の目的である、お金の様々な働きを理解し、経済的・心理的により豊かな自立した生活設計に向け、主体的に行動できる知識や態度、思考力や判断力などの金融リテラシーの習得は不十分であったと思われる。課題が残った要因は多々あるが、実践して感じたことの、一つは金融や財政の概念や、金融用語が難解であり、一定レベルまで理解するには時間がかかることである。また、ロジカルに自己の将来を想像することの困難さもあるため、金融に関してより丁寧な説明の必要性や、身近なところから生活の中のお金の動きをイメージできるような工夫の必要性も実感した。投資についても、必ず利益が得られるものではなく、ギャンブル的な危険性が高い商品と捉える生徒が多く、拒否反応的な状態であった。ある意味金融トラブル防止への正当な理解であるが、金融や経済などの知識を深めることができれば自己の人生を豊かにするものでもあるため、十分配慮しながら情報を提供する必要性を感じた。これらの反省点を踏まえ、次年度はさらに熟考しながら金融教育をブラッシュアップしていきたい。
  
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