●令和元年度阿波市立土成小学校活動内容(抜粋)
 
≪研究主題≫
エシカル消費について理解し、豊かな消費生活をする子どもの育成
   
 
Ⅰ 研究内容 
   研究の目的、研究を通してめざす子ども像、主な学習内容・活動については、30年度の活動実績をご覧下さい。
 
研究計画

活  動  内  容 学 年 等
今年度の研究について
野菜作りの計画
 教員
 1・2年
ミニトマトづくり(苗植えをしよう)
修学旅行でのおこづかいの使い方計画
おこづかい収支決算書(お金の使い方を振り返る)
 2 年
 6 年
 6 年・教員
ゴミを減らそう大作戦
ミニトマトづくり(お世話をしよう)
 4 年
 2 年
阿波市租税教室
おこづかい帳をつけてみよう
エコキャップキャンペーン
 6 年
 1~6年
 環境ボランティア委員会
出前授業「エシカル消費とは?」
教員向け講座「エシカル消費って何?」
枝豆づくり(種をまこう)
 1~6年
 教員

 3 年
家庭に広げよう!!紙リサイクル
クリーンセンターを見学して
 環境ボランティア委員会
 4 年
10
スーパーマーケットの見学「エシカルな商品発見」
「ものの値段が決まるしくみ」

  
野菜づくり 「レタスを栽培しよう」        
 「枝豆を収穫して販売しよう」
金融教育公開授業
   1年 道徳「もったいない」をかんがえよう
   3年 総合的な学習「大変身 大好き 大豆」
   5年 総合的な学習「めざせ!エシカルマイスター」
   講演 加渡いづみさん
 「わたしたちの買い物は世界や未来とつながっている」
 3 年・5 年
 3 年
 2 年
 3 年
 1・3・5年
 
 
 
 
 
11
いもほり
「さつまいもを使ったおやつづくり」
「おとなカタログ」出前授業 
実践の成果と課題の検討・発表会に向けての校内研修
 2 年
 2 年
 6 年
 教員
12
エシカルな調理実習
エコキャップキャンペーン
徳島県金融金銭教育協議会
 5・6 年
 環境ボランティア委員会
 教員
冬野菜収穫
 2 年
ブロッコリーを販売しよう
エシカルな商品を探そう
 3 年
 5 年
今年度の研究のまとめ
 教員
※朝会にて,エシカル消費についてミニ講話を実施する。
※学校だより「赤田」の紙面で,「エシカル」について広報を行う。

 Ⅱ 活動の実際
 
 お金の機能を知る
 
学 年 2年生
活 動 幸せの阿波プロジェクト
内 容  市の生活支援体制整備事業とタイアップし,2年生が生活科の授業で育てたトマトを地元の9番札所法輪寺でお接待の場を借りてお遍路さんに提供することで,人に喜びを与えるありがたさに気づいた。本校地域で盛んに生産されていることもあり,接待を受けたお客さんからのお礼の手紙も学校へ届き参加した児童は満足げな表情をしていた。
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学 年 2年生
活 動 野菜の生産から消費・販売まで
内 容 (ア)レタス栽培から販売まで
 生活科では,サツマイモ・レタスを育てることによって,生産活動・地産地消活動・金銭活動を行うこともできた。生産はプランター・畑で栽培を行い,3学期にレタスを育てた際には,成長の様子をワークシートに記録した。
 収穫したレタスは野菜ソムリエの講師を招いて料理教室を行った。さらに,残ったレタスは1個100円で職員室にて販売を行った。その後,金銭感覚に関する学習を道徳の授業でも行い,ものの価値をレタスいくつ分に当たるかを考えた。

 
(イ)サツマイモの栽培から
 2学期には収穫したさつまいもで,スイートポテトを作った。児童が苗から育てたものを食べているときには,笑顔を浮かべていた。登下校中に畑の様子を見たり,授業で様子を観察したりして,芋の生長を感じていた。
 作成中に,児童が「このスイートポテトはおいしいなあ。売れるかもしれん。」「売るとしたら,100円ぐらいかな?」と,嬉しそうな声があった。また,「残すのはもったいない。」と,言ってアルミ皿一杯にサツマイモを練り込んで食べていた子もいた。
 2年生は,給食の残食(特にレタスやトマト,サツマイモ)の量がかなり減ったことが成果としてあげられる。阿波市の給食残食率と比較してもかなり低い結果が得られた。
 
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学 年 3年生
活 動 「大変身・大すき・大豆」~大豆農家になろう~2019年度[金銭・金融教育公開授業]
内 容  夏休み前に,大豆の種を購入して学級園に植えた。夏休みは水やり,2学期からは草抜きや肥料やりなどを行い,収穫までの間生長を見守った。その間に大豆について調べ学習をしたり,販売の準備をしたりした。
 10月上旬の販売をめざし,計画や準備を行った。宣伝するために大豆や枝豆のキャラクターを考え,チラシを作成した。値段の設定では,社会科のスーパーマーケットの見学で学習したものの値段の決まる仕組みを生かしながら話合いを行い,100円に設定し,収穫した枝豆を袋詰めにして販売の準備をした。
 販売日当日は,たくさんの保護者や先生方が購入してくださり,126パック全て完売した。枝豆の売り上げから,かかったお金を差し引きしたお金の使い道を話し合い,学習に役立つものを購入することにした。


 
 ≪生徒の感想≫
  早くおいしい枝豆になってほしいと思って育てたよ。
  ふっくらしている豆にはみんなの愛情がつまっている。
  暑いなか,草ぬきがすごくつかれた。
  強い風がふくなか,風にたえながら売ったよ。
  「おいしい。」と言ってくれてよかった。
  PRするとき,お客さんがいっぱい買ってくれるように工夫したよ。
  家族や先生が買ってくれてうれしかったよ。 

 大豆関連の授業で,醤油工場の方にゲストティーチャーとして授業していただいたり,校外学習で醤油工場を見学したりした。人や環境に優しい取組として,「絞りかすを動物のえさにすること」「無添加の製品づくり」など,原料の大豆を無駄にしていない取組を知ることができた。

(ア)成果
 
 
自分たちが種から育てていくことで,生産者の立場に立って労働の大切さや野菜を収穫する喜びを体験することができた。 
 
 
出前授業や見学・調べ学習をすることで,日本人の伝統的な食文化の豊かさや先人の知恵に気付いた。
 
 
枝豆の販売を通して,お店の人の仕事を体験し,販売の苦労や達成感を味わうことができた。
 
地元の基幹産業である農業について体験することができた。
  お金や物の価値に気付き,大切にする気持ちを育てることができた。
 
 
 キャリア教育を通しての労働観の育成
 
学 年 6年生
活 動 「おとなカタログ」の実践から
内 容  6年生のキャリア教育の一環で,キャリア教育出張授業「おとなカタログ」を行った。講師は,阿波市を中心に仕事や趣味に熱中する大人の方で,パン屋の笠井さん・主に善入寺島で農業をされていてけん玉が趣味の唐渡さん・建築家の高橋さんの3人で,どの方も仕事や趣味に熱意をもって取り組まれている方々である。サテライト・オフィスで働く谷脇さんも含めて4人の講師の先生が,歩んできた人生や,今の仕事の内容と趣味を語っていただいた。どの方の話からも,「大人になったら,こんなに楽しいことがあるよ。」「仕事って楽しいよ。」というメッセージが伝わってきた。
 子どもたちは,「仕事は大変なもの。」「仕事は楽ではない。」というイメージをもっていたが,この授業を通して「楽しく仕事ができることがわかった。」「自分の趣味や特技を生かした仕事をしていきたい。」と,仕事に対してプラスのイメージをもつことができた。
 
≪生徒の感想≫

 
 
 今日学んだことは,やりたいと思うことにとにかくチャレンジすると,きっといいことがあるということです。今までは,できないかも知れないから,一歩を踏み出せませんでした。あきらめずに努力することが大切と知りました。

  
 
 人生を楽しく生きるには,仕事以外にも目を向けることが大切なのかなと思いました。「休憩は大事。でもあきらめてはダメ!」という言葉が耳に残りました。今日学んだことをしっかり覚えておき,将来に生かしたいです。
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学 年 6年生
活 動 西精工出前授業
内 容  土成工業団地に工場を構えている西精工の社長,西泰宏さんをゲストティーチャーとしてキャリア教育出前授業を行った。西さんは,朝礼で毎朝,「仕事」や「夢」について語っていて,「働く幸せ」に繋がるという話を子どもたちにしていただいた。会社経営の理念や働く幸せの話を聞くうちに,だんだん子どもたちの表情が変わってきた。優れた良い品質の製品を作り利益を上げながら社員やその家族を幸せにすると教えていただいた。話を聞いて子どもたちは『働くことが何を意味するのか』『幸せ』とは何なのか考え始めた。
    
 
エシカル消費の実践
 
学 年 1年生
活 動 「もったいない」をかんがえよう 2019年度 [金銭・金融教育公開授業]
内 容 (ア)指導計画(全2時間)
第1時  “もったいない”をさがそう
ねらい 身の回りの“もったいない”探しをすることを通して,自分の生活の中に“もったいない”があることに気付き,もったいないと感じることができる。
活 動

 
1年生にとって身近な場所である教室や廊下等で,“もったいない”ものを探して,ワークシートに書き出す。
グループで話し合い,どんな“もったいない”があったかを確認する。
第2時  “もったいない”をへらそう
ねらい 身の回りの“もったいない”を減らした方が良いことに気付き,“もったいない”ものをどのようにして減らしていくことができるのかを考えることができる。
活 動

 
前時の活動を想起し,何がどのようにもったいないのかを発表して“もったいない”を種類分けする。
『もったいないばあさん』(講談社)の読み聞かせを聴く。

 
自分だったら,どんな“もったいない”をどのようにして減らすことができるきるのかを考え,ワークシートに書く。

 
友だちの意見を聞いて,たくさんの“もったいない”を減らす工夫があることを知る。

(イ)成果

 
身の回りの“もったいない”を探すことによって,自分の生活や行動の中の“もったい ない”に気付くことができた。

 
自分にできる“もったいない”を減らす方法を考え,実践しようとする意欲を高めるこ とができた。

 
 
休み時間や給食の時間に「もったいないなあ。」とつぶやき,水の蛇口を閉めたり,石けんを使う分だけ出したり,給食は,自分が食べられる分だけに量を調整したりする等,行動にうつしている児童の姿が以前よりも多く見られるようになった。

 
見つけた“もったいない”を帰りの会で減らそうとクラス全体に呼びかける児童も増えた。

 
授業参観をした保護者の方の中には,使わなくなった輪ゴム等を学校に持ってきてくれた人もいた。
 《生徒の感想》
水の出しっ放しを見つけたら,すぐに止めます。
ティッシュは,一度にたくさん使わずに,一枚ずつ取って使います。
テープは,使う分だけ出して使います。

 
学校にあるものは,たくさんあるので,次の一年生も使えるように大切に使いたいと 思います。
自分のものには,必ず名前を書いておこうと思います。
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学 年 5年生
活 動 めざせ!エシカルマイスター 2019年度 [金銭・金融教育公開授業]
内 容  貧困や環境など社会で起きている問題に目を向け,これらの問題を解決するための取組として,人や社会,環境に配慮した商品があることに気付かせ,商品を選ぶときに,値段が安いからという基準だけで選ぶのではなく,商品の特徴を把握し,エシカルの観点も踏まえて比較・選択しようとする態度を育てたい。さらに,購入者としての自分の行動が社会を変えるということにも気づかせ,自分にできることを考え,実践することで,よりよい社会をつくっていこうという心情を育てたいという願いから授業を計画した。
  (ア)単元の目標  
    (1) 
 
社会の問題に目を向け,よりよい消費生活について考え,消費者の立場からこれらの 問題を解決していこうとする態度を養う。
    (2)
調べて分かったことや考えたことを仲間と協力しながらまとめ,発表することができ る。
  (イ)指導計画 ・フードマイレージ,地産地消
    ・スーパーマーケットでエシカル商品探し
    ・エシカルな買い物について調べよう
    ・調べ学習の発表会(本時)
    ・エシカルde 未来を考える
  (ウ)成 果
   
 
お菓子や文房具などの身近な商品には,エシカル商品であることを示す様々なマークがつていることに気付くことができた。
   
 
  
スーパーマケットなどの店内には,ポスターやのぼりなどで,地産地消や食品ロス削減などの環境への配慮を呼びかける取組をしていることに気付くことができた。
   

 
学習前は,値段ばかり気にして買い物をする児童が多かったが,調べ学習を通して,商品を選ぶ際の視点を増やすことができ,これからの消費活動にに生かそうとする意識が出てきた。
 
 
≪生徒の感想≫


 
 社会科の学習で,日本の食料自給率の低さを知って残念に思いました。でも,調べ学習をして地産地消が自給率を上げることにつながるこということを知りました。これからは,できるだけ地元の物を買って,地産地消に取り組みたいです。


 
 
 
 商品にいろいろなマークが付いていることには気付いていたけど,その意味までは知らなかったので,知ることができてよかったです。普段,買い物をしているお店では,人や社会のことを考えた商品や地域を応援する看板がこんなにたくさんあるのだと驚きました。これからは,エシカル商品を買っていきたいです。そして,今回学んだことを,周りの人にも伝えていきたいです。

 
 
  
 社会を応援する商品を買うことで,学校へ行けずに働いたり,餓死したりする子どもたちがいなくなって欲しいです。ぼく一人ではできないけれど,みんながやれば幸せになる人が増えてくるかも知れません。今回の学習を,これからの買い物に生かしていきたいです。
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学 年 全学年
活 動 講演会
内 容
 実践した2年間とも,四国大学短期大学部より加渡いづみ氏を招き,全学年及び教職員にエシカル消費に関する講演を行っていただいた。2019年度は保護者にも参加していただき幅を広げた。
 エシカル関係の商品を見分ける方法や,エシカル消費活動の意義について話があった。身近な文房具の先には世界各国の物に対する考え方や大切さが詰まっているということを,クイズ形式で子どもたちによく分かるように話していただき,理解を深めることができた。
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活 動 環境ボランティア委員会の活動
内 容
  (ア)プルタブ・ペットボトルキャップ収集
     環境ボランティア委員会が数年前から呼びかけて,空き缶のプルタブやペットボトルキャップを収集してきた。物を大切にし役立てる取組を今も継続している。昨年度は,プルタブを800kg集めて車イスをいただき,徳島新聞の取材も受けた。
  (イ)電気代・水道代の報告
     プルタブやペットボトルキャップの収集だけではなく,電気代や水道代の移り変わりを知らせて,自分たちでできる省エネ活動も継続している。これらの取組を継続しているので,子どもたちにはエシカル意識が常にあると考える。
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活 動 学校全体の取組
内 容
  (ア)エシカル掲示
     児童玄関横や全校掲示スペースに,何がエシカルであるかとかエシカルクイズなどで常掲することで,児童や保護者への啓発を高めている。
  (イ)古紙回収
     毎週木曜日を古紙回収デーとし,環境ボランティア委員会が呼びかけ,子どもたちが登校時に持ってこられるだけの家庭の古紙を集めいる。教室でもプリントの裏面を計算用紙にしたり,余分等を収集したりしている。
  (ウ)レジ袋有料化後の取組
     10月になって,スーパーマーケットのレジ袋が有料化され,給食時の牛乳パック処理もエシカルを取り入れる形になった。何気なく使用していた無料のレジ袋が,有料になりお金の大切さを感じ,実践は小さな一歩かも知れないが,環境にも配慮して全校で知恵を出しながらトレイを利用することにした。
  
 Ⅲ おわりに
  研究の課題
 様々な実践を通して,エシカルに関する意識が児童に根付いてきたことが成果としてあげられるが,まだまだ途上にある。気付くことができていても,なかなか行動にうつすことができていない児童もいた。家庭でもお金や物を大切にすることを呼びかけ,消費活動について工夫したり,残食を減らしたりできるようにしなければならない。今後は,家庭と連携し,学んだことを広める活動にも力を入れていきたい。
    
 過去の一覧