●平成30年度阿波市立土成小学校活動内容
 
≪研究主題≫
エシカル消費について理解し、豊かな消費生活をする子どもの育成
 
 1.はじめに
 
 子どもたちの買い物体験は、家族と一緒にスーパーマーケットに行き、自分の必要なものを買ってもらうことが多い。そのため、お金の使い方を考えて、計画的に使う経験も少ない。また、子どもたちの学用品からは、学習に必要のない物を多く持って来たり、まだ使える物でも友達が持っているからという理由で買い換えたりしている実態がある。自分でお金の使い方を体得し、欲しい物も我慢したり、貯金して計画的に使っていく習慣を小さい頃から習得する必要性を感じる。
 さらに、新学習指導要領では、「持続可能な社会の構築に向けて身近な消費生活と環境を考え、工夫する活動を通して、消費生活・環境に関する知識及び技能を身に付けるとともに、それらの課題を解決する力を養い、身近な消費生活と環境をよりよくしようと工夫する実践的な態度を育成すること」が家庭科の学習内容として位置づけられた。
 このような状況から、限りあるものやお金を大切にすることや自分の生活が身近な環境に与える影響に気づき、持続可能な社会の構築に向けて、主体的に生活を工夫できる消費者としての資質を向上させたいと考え、金銭金融教育に取り組むことにした。
   
 2.研究内容 
 
(1)目 標
(2)めざす子ども像
① ものやお金を大切にする子ども
② エシカル消費活動ができる子ども
③ 労働とお金の関係を知り、身近な人々への感謝の気持ちもつ子ども
(3)主な学習内容・活動について
  ① ものやお金を大切にすること。
   ○ お金の使い方の実践(意志決定の仕方や計画を立てて消費すること)。
   ○ 貯蓄の意義と実践。
   ○ エネルギー消費の視点から、ものを大切にする。
  ② お金の機能を知る。
   ○ 生産と消費活動(市場の機能)。税金の仕組みとその働き。
③ キャリア教育を通して労働観の育成。
   ○ 勤労の尊さや生産の喜びの理解。
  ④ エシカル消費の実践 
   ○ エシカル消費を知り、実践化を図る。
(4)研究計画 
 
活  動  内  容 学 年 等
 ○ 今年度の研究について
 ○ 野菜作りの計画
 教員
 1・2年
 ○ ミニトマト作り(苗植えをしよう)
 ○ 修学旅行でのお小遣いの使い方計画
 ○ お小遣い収支決算書(お金の使い方を振り返る)
 2 年
 6 年
 6年・教員
 ○ クリーンセンターを見学して
 ○ ゴミを減らそう大作戦
 ○ ミニトマト作り(お世話をしよう)
 4 年
 4 年
 1・2年
 ○ 阿波市租税教室
 ○ お小遣い帳を付けてみよう
 ○ エコキャップキャンペーン
 6年
 1~6年
 環境ボランティア委員会
 ○ 出前授業「エシカル消費とは?」
 ○ 教員向け講座「エシカル消費って何?」
 1~6年
 教員
 ○ 家庭に広げよう!!紙リサイクル  環境ボランティア委員会
10  ○ スーパーマーケットの見学「エシカルな商品発見」
 ○ 「ものの値段が決まるしくみ」
 ○ 野菜作り 「レタスを栽培しよう」 「ブロッコリーを栽培しよう」
 ○ 「もったいない」をかんがえよう
 3 年
 3 年
 2・3年
 1年・教員
11  ○ いもほり
 ○ 「さつまいもを使ったおやつ作り」
 ○ 「大人カタログ」出前授業 
 2 年
 2 年
 6 年
12  ○ エシカルな調理実習
 ○ エコキャップキャンペーン
 5・6年
 環境ボランティア委員会
 ○ 冬野菜収穫  2 年
 ○ ブロッコリーを販売しよう
 ○ エシカルな商品を探そう
 3 年
 5 年
 ○ 今年度の研究のまとめ  教員
※11月・12月の4回、朝会にて、エシカル消費についてミニ講話を実施する。
※学校だより「あかた」の紙面で、「エシカル」について広報を行う。

 3.研究実践
 
 (1)第1学年の実践
学 年 第1学年 
活 動 「もったいない」をかんがえよう
内 容
指導計画(全2時間)
第1時 “もったいない”をさがそう
ねらい

 
身の回りの“もったいない”探しをすることを通して,自分の生活の中に“もったいない”があることに気付き,もったいないと感じることができる。
活動

 
1年生にとって身近な場所である教室や廊下等で,“もったいない”ものを探して,ワークシートに書き出す。
グループで話し合い,どんな“もったいない”があったかを確認する。
◆◇◆◇◆◇◆◇ ◆◇◆◇ ◆◇◆◇ ◆◇◆◇ ◆◇◆◇ ◆◇◆◇ ◆◇◆◇ ◆◇◆◇
第2時 “もったいない”をへらそう
ねらい

 
身の回りの“もったいない”を減らした方が良いことに気付き,“もったいない”ものをどのようにして減らしていくことができるのかを考えることができる。
活動

 
前時の活動を想起し,何がどのようにもったいないのかを発表して“もったいない”を種類分けする。

『もったいないばあさん』の読み聞かせを聴く。

 
自分だったら,どんな“もったいない”をどのようにして減らすことができるのかを考え,ワークシートに書く。

 
友だちの意見を聞いて,たくさんの“もったいない”を減らす工夫があることを知る。
成 果

課 題
【 成 果 】

 
身の回りの“もったいない”を探すことによって,自分の生活や行動の中の“もったいない”に気付くことができた。

 
自分にできる“もったいない”を減らす方法を考え,実践しようとする意欲を高めることができた。

 
 
休み時間や給食の時間に「もったいないなあ。」とつぶやき,水の蛇口を閉めたり,石けんを使う分だけ出したり,給食は,自分が食べられる分だけに量を調整したりする等,行動にうつしている児童の姿が以前よりも多く見られるようになった。
  (児童の感想より)
 
水の出しっ放しを見つけたら,すぐに止めます。
ティッシュは,一度にたくさん使わずに,一枚ずつ取って使います。
テープは,使う分だけ出して使います。

 
学校にあるものは,たくさんあるので,次の一年生も使えるように大切に使いたいと思います。
自分のものには,必ず名前を書いておこうと思います。(児童の感想より)

【 課 題 】

 
 
 
“もったいない”に気付くことができていても,なかなか行動にうつすことができていない児童もいたので,もったいないを減らすための一つの方法として,視覚的にわかるものを掲示したり,帰りの会で自分がもったいないを減らすためにできたことを伝え合ったりするなど,児童の生活に還す手立てを工夫する。
保護者と連携し,家庭でももったいないを減らしていこうと呼びかける。
   
 
 (2)第2学年の実践
学 年 第2学年
活 動 野菜の生産から消費まで
内 容  生活科の授業では,トマト・サツマイモ・レタスを育てることによって,生産活動・地産地消活動・金銭活動を行うことができた。トマトの栽培では本講地域で盛んに生産されていることもあり,地元九番札所法輪寺での接待活動を行った。接待を受けたお客さんからのお礼の手紙も学校へ届き参加した児童は満足げば表情をしていた。畑では,サツマイモを栽培した。
 二学期には,収穫したサツマイモで,茶巾絞りを作った。児童が苗から育てたものを食べているときには,笑顔を浮かべていた。登下校中に畑の様子を見たり,授業で様子を観察したりして,芋の成長を感じていた。
 三学期に,レタスを育てた際には,多くの活動を行った。生産はプランター・畑で栽培を行い,成長の様子をワークシートに記述した。収穫したレタスは野菜ソムリエの講師を招いて料理教室をおこなった。さらに,残ったレタスは1個100円で職員室に販売を行った。その後,金銭感覚に関する学習を道徳の授業で行い,ものの価値をレタスいくつ分に当たるかを考えた。二年生で学習したレタスに関する活動は以上の流れを組んで行うことができた。
成 果

課 題

 
給食の残食(特にレタスやトマト,サツマイモ)の量がかなり減ったことである。阿波市の給食残食率と比較してもかなり低い結果が得られた。

 
一方で課題として,好き嫌いはまだ見られている。嫌いな食べ物であっても,頑張って食べようとする態度の育成を引き続き行っていきたい。
 (3)第3学年の実践
学 年 第3学年
活 動 ①農家になろう!!~ブロッコリー栽培・収穫・販売体験~
②スーパーマーケット見学「エシカルな商品を探そう」
内 容 ①農家になろう!!~ブロッコリー栽培・収穫・販売体験~

 
10月中旬,ブロッコリーの苗を一人2苗ずつ購入し,学校園とプランターに植えた。収穫までの約4ヶ月、成長の様子を観察しながら水やりや草抜きを行った。
2月初旬,学年最後の参観での販売を目指し,販売までの計画・準備を行った。社会科のスーパーマーケット見学で学習したことを生かしなが ら進めていった。販売当日は,たくさんの保護者の方に購入していただくことができた。

 
 
2月中旬,社会見学でお世話になったスーパーマーケットで販売した。 参観での販売の反省や,事前の店内でのポスター掲示などのおかげで,たくさんの方に購入していただくことができた。

 
ブロッコリーの売り上げとこれまでの活動にかかった費用とから,「ものの値段が決まるしくみ」について学習した。
◆◇◆◇◆◇◆◇ ◆◇◆◇ ◆◇◆◇ ◆◇◆◇ ◆◇◆◇ ◆◇◆◇ ◆◇◆◇ ◆◇◆◇
②スーパーマーケット見学「エシカルな商品を探そう」

 
 
社会科「店で働く人々の仕事」で販売に関わる仕事や食べ物を通して国内や外国との結びつきについて調べた。学習をさらに深めるために,社会見学でお世話になったスーパーマーケットで,エシカルの視点から2回目の店内見学を行った。

 
 
四国大学の加渡いづみ先生や学生の皆さんに協力いただき,グループに分かれてスタンプラリー形式で行った。各コーナーで,チョコレートやバナナ,ノート等の品物についているマークやラベルの意味について実際に商品を見ながら説明を受けた。
成 果

課 題
①農家になろう!!~ブロッコリー栽培・収穫・販売体験~

 
 
 
 
観察しやすいようにとの意図から,畑とプランターとの2種類で栽培を試みたが,プランターの方は思うように育たず,収穫することができなかった。また,収穫時期と販売時期がなかなか調整できず,収穫が遅くなり大きくなりすぎてしまったこともあり,値段も低めに設定した。これらのことから,売り上げが減ってしまった。しかし,「ものの値段のしくみ」について考えるよい機会となった。

 
 
社会科で学習したスーパーマーケット見学を生かすことができたのがよかった。しかし,予定していた地域のブロッコリー農家の方へのインタビューは,都合がつかずできなかったのが残念だった。

 
社会見学から販売まで全て同じ店でできたことで,子どもたちの活動への意欲が高まったように思う。店長さんには,様々な面でご協力いただき,大変お世話になった。

 
 
今回の活動から,子どもたちは農家の方の苦労や喜び,販売の大変さや達成感などを味わうことができた。地元の主要産業である農業の生産から販売に至る多くの人々の努力や工夫について学ぶ大変貴重な体験となった。
②スーパーマーケット見学「エシカルな商品を探そう」

 
 
 
 
探してみると,エシカルに関連したマークがたくさんあり,その一つ一つに意味があることに知ることができた。3年生には理解が難しい説明もあったが,学習後に「家族にマークについて教えた」「どちらを買うか迷ったときにマークがついている物を選んだ」「物を大事にし,買う前によく考えるようになった」等,エシカルの視点から,どのような商品を選ぶのが良い行動なのか考えるいい機会となった。
 (4)第4学年の実践
学 年 第4学年
活 動 ゴミを減らそう大作戦!~金銭教育の観点からゴミゼロを目指して~
内 容
家庭で出るゴミを調べ,どのような種類のゴミが出ているのかを知る。

 
 

 
 
 
 
 
 
 
自分たちのゴミが処理される環境センターを見学し,ゴミの処理にも多くの費用がかかることや,資源を再利用する取り組みを行っていることを知る。
ゴミ処理にかかる諸費用
  ①維持管理費(塵芥処理費)
②ゴミ処理手数料
③市町村別分担金
④施設建設費
⑤副産物の資源化 など 
                   合計 数億円

 
金銭教育の観点からもゴミを減らすことが大切であることを知り,ゴミを減らすために自分たちは何ができるのかを考える。
レジ袋削減のために,風呂敷の活用方法を学ぶ。
考えたことを自分たちの生活で実践する。
成 果

課 題

 
家庭ごみを調べることで,牛乳パックや食品トレイのリサイクルや,資源ごみの分別など,身の回りでもゴミを減らす取り組みをしていることに気づくことが出来た。



 
 
 
 
 
 
 
ゴミを処理するにも多くのお金がかかることを知ることで,ゴミを減らしていかなければならないという思いをより切実に感じることが出来た。その後の授業でも,自分たちにできるゴミ削減の方法を具体的に考えるなど,主体的に考えることが出来た。
 
感想
ゴミを処理するのにもたくさんのお金がかかることがわかった

 
みんなのお金がたくさん使われているからゴミをできるだけ出さないようにこれからがんばっていきたい

 
すぐに捨てるのではなく,何度も使ったりリサイクルに出すなどしてゴミを減らしていきたいと思った

 
 
ゴミ処理にかかる費用を詳しく知ることで,多くのことにお金がかかっていることに気づいた。その結果,ゴミ処理のことだけではなく,水の節約や電気の節約にも目を向け,無駄をなくしていこうとする児童もいた。

 
他の学年や地域の人々への呼びかけを行うことが出来なかった。今後は,学んだことを広める活動にも力を入れていきたい。
 
 (5)第5学年の実践
学 年 第5学年
活 動 エシカル de 調理実習 ~調理実習材料の買い物を通して~
内 容

 
総合的な学習の時間にエシカル消費について学習し,家庭科の調理実習を通して,買い物の仕方や調理の工夫について考える。 
家族へのインタビューを通して,買い物や調理の際に気をつけていることを知る。 

 
調理実習に向けての買い物計画を立て,それぞれの食材を買う際に気をつけることを話し合い,買い物をする。   

 
家庭科「ごはんとみそ汁を作ろう」で,エシカル消費の観点から調理実習を行う。
活動を通して,学んだことを話し合う。
成 果

課 題

 

 
 
 
 
買い物の仕方をふり返り,どの子にも買い物で失敗した経験があることが分かった。
 
(失敗の経験)
本当に必要かをよく考えずに買い物をした。
安いからと買ったものがすぐに壊れてしまった。

 
まとめ買いがお得と思って買ったけれど,結局使い切れな くて無駄にしてしまった。
   これを出発点とし,上手な買い物をするために大切なことを学ぼうとする意欲をもつことができた。またエシカル消費の考えとして,ただ安いからという基準で商品を選ぶのではなく,値段が高くても地元で作られているものを選んだり,必要分量にあわせて無駄が出ないように買ったり,「人・環境・社会にやさしい思いやりのある買い物」をしようする意識が高まった。

 
家族へのインタビューを通して,金額や量だけでなく,健康にも気遣って(産地や添加物を確認するなど)買い物をしてくれていることに気付くことができた。

 
買い物実習は予算を決めて行った。算数で習った見積もりの考え方を使って,ほぼ予算ぴったりの買い物ができた。
 
 計画通りにちゃんと買い物ができたのでよかったです。賞味期限を見たり,必要な量を計算して買ったり,むだのない上手な買い物ができた思います。これから家で買い物するときも,本当に必要な物か考えて買いたいです。
 
 予算以内で買い物ができるかとてもドキドキしました。34円オーバーしてしまったけど,いい買い物ができたと思います。いつもはほしいと思ったものを何も確かめずにかごに入れているけど,これからはラベルを確認したいです。
 
(6)第6学年の実践
学 年 第6学年
活 動 修学旅行大作戦 ~おこづかいを有効に使おう!~
内 容  児童が,限られたお金を有効に使おうという意識を高めたり,計画的に買い物をすることの意義を実感したりできることを意図して,次のような学習単元を設定した。(全6時間)
 
修学旅行でのおこづかい使用計画を立てる・・・・・1時間
計画を意識しながら旅行先でおこづかいを使う・・・2時間
おこづかいの使途の収支決算書を作成する・・・・・2時間
自分たちのおこづかいの使い方をふり返る・・・・・・1時間
成 果

課 題

 
 
単元の目標として「修学旅行での買い物を通して,効率的で無駄のない,できるだけ有意義なおこづかいの使い方について考えていこうとする態度を育てる」を設定したが,学習後の児童のふり返りの感想からこの目標は概ね達成できたと感じている。
 
 これから買い物をするときには,使う分だけのお金を持っていく。でも,できるだけ全部は使わず,値段を比べてなるべく安い物を買う。必要でないものは買わずに,高額の物は親と相談して買うようにしたい。(女子)
 
 ぼくは,新京極ではあまり買い物をしなかった。これからも,今必要な物なのかを確かめてから,自分できちんと判断して買うようにしたい。むだな物を買わずに欲しい物を優先して買うようにしていきたい。(男子)
 
 私は,1日目にお金を使いすぎて,2日目に使う予定にしていたお金を少し使ってしまったので,計画を立てて買い物をすることが大事だなと思った。(女子)
 
 今まで財布の中を見て買い物に行くことはなかったけど,これからはどのくらい入っているか見てから買い物に行きたい。また,これを買うとあとお金はどれくらい残るかを計算して買いたいと思った。そして,賞味期限もしっかりと見て買うようにしたい。(男子)
 
 わたしは,今後買い物に行くときも修学旅行の時のように,何を買うか,予算をどれくらいにするかなどを紙に書いて,計画してから買い物に行きたい。それは,今回の修学旅行で,先に買い物の計画を立てていたら,買い物がしやすかったからだ。あと,今回,計画していなかったのにその場で買いたくなり,計画とはちがう物を買ってしまったので,これからはお金を大切にしながら,今いるかどうかを考えて買うようにしたい。(女子)

 
 
 
今回は,事前に「おこづかい使用計画」を立て,修学旅行後には表計算ソフトを使った「収支決算書」を作成した。自分のお金の使い方を1枚のペーパーで客観的に見ることができたことは,児童にとって視覚的にも分かりやすいものがあったのではないかと考えた。

 
 
 
 
講師の先生からは,「お金を残すという子どもたちの意見が多く見られ,それはそれでいいことなのだが,“無駄なお金を使わない”ということと同時に“自分に必要な物や自分が欲しい物はきちんと買う”という意識をもたせることも大切だ。」という助言があった。「上手なお金の使い方」ということを今後も折に触れ考えていくことができるような学習活動を継続的に行っていくことが必要であると考える。
 
 (7)学校全体での実践
学 年 第1学年~第6学年
活 動 「限られたお金を使ってみよう」
内 容

 
 
 
「お小遣い帳」と保護者への協力依頼文を夏休み前に配布し、「お小遣い帳」を付ける活動を行った。期間終了後、振り返りカード(感想文)を学校へ提出するようにした。日頃お小遣いを渡していない家庭にも協力をしていただき、期間を限定してお小遣いを渡して、子どもが買い物をした記録をして、振り返るようにした。

 
9月の「学校だより」に金銭教育コーナーを設け、感想文を紹介して、他の保護者にもお金の計画的な使い方の教育的効果をお知らせした。
成 果

課 題

 
「お金の使い方を考えたい」「値段を考えて買い物をしたい」「全部使うのではなく貯金もしていきたい」と感想があり、実施した効果があった。
 
 僕はこれまで決まった金額のおこづかいはもらっていませんでした。今回夏休みの間だけ決まったおこづかいをもらっておこづかい帳をつけてみました。決まったおこづかいの中でやりくりするのはとても難しく途中お金がなくなりました。お手伝いをしておこづかいをもらって過ごしました。振り返ってみると、ジュースやアイスなど食べるものにたくさんのお金が必要で、貯金する余裕がありませんでした。これから大きくなっておこづかいをもらうようになったら、もっと考えて大切にお金を使うようにしたいと思いました。 (6年)
 
 おこづかいは阿波踊りの時にたくさん使いました。おこづかい帳を見てみると、お金を意外とたくさん使っていたので、これからは、お金の使い方に気をつけていきたいです。(5年) 
 
 いつもお母さんに買ってもらう時は、ねだんは気にしてなかったけど、自分のお金を使うときは、計算してから買いました。(4年)
 
 これまで決まったおこづかいはもらっていませんでした。おこづかい帳をつけるために夏休みは決まったおこづかいをもらいました。毎日書くのは大変だったけど、自分がどんな物にお金を使っているのかよく分かりました。もらったお金を全部使うのではなく、貯金もして大切に使おうと思いました。(4年)
 
 いつもはあまりおこづかいを使わないけど、子ども会の遠足の時に、ジュースやおもちゃを買って、少しお金を使い過ぎた。これからは、もう少し考えて使いたいです。(1年)
 
 おこづかい帳を使って思ったのは、最初は簡単だと思っていたけど、やってみたらすぐに計算が合わなくなってしましました。お金をためていこうと思いました。また、お金を貯めて募金もしてみたいです。(2年)

 
 
日常的にお小遣いをもらって、お金を使っている子どもは少なく、特別にお小遣いをもらって使ってみる試みをした子どもが多くいた。このような経験はとても貴重で、多くのことを学ぶことができていた。 

 
 
 
「1年生なので大きな数の計算をすることは難しく、もう少し大きい学年で小遣い帳を活用するとよいと思う」というご意見を保護者からいただいた。対象学年や保護者の協力依頼の方法について改善する必要がある。

 
実施時期や期間については、各家庭の事情を考慮して、小遣い帳を活用する意義が感じられるように配慮する必要がある。
   
 4.成果と課題
    本実践では,以下のような成果をみることができた。

 まず,もの(特に食品)に対する感謝を考え直し,校内では給食等のロスを減らすことができた。1年生の実践では,「もったいない」という言葉でものを捨てることや,無駄遣いすることを減らすことが大切であることに気づくことができた。2年生・3年生の実践では生産者としての立場に立つことができた。自分たちで作った野菜を食べるだけではなく,職員や地元スーパー(スーパーマルナカ柿原店)での販売を行った。2年生では,レタスを2700円分売り上げ、3年生ではブロッコリーを7700円分売り上げた。実際にお金を手にして,労働の充実感や,稼いだお金の大切さ,元気よく接客することの楽しさに気付くことができた。

 つぎに,エシカルに関する意識が児童に大きく根付いたことである。ここでいうエシカルとは,地産地消に関するものである。前にも記述したとおり第2・3学年では,地元の食材を生産し,調理・販売を行った。また,第5学年の実践では,買い物に方法について考えた。生産の背景を知り自分たちとのつながりを知ることや,無駄にならない必要なものや,必要な量を買うことの大切さについて理解を深めることができた。また,本校では四国大学短期大学部より加渡いづみ氏を招き,全学年児童及び教職員にエシカル消費に関する授業を行って頂いた。授業では,エシカル関係の商品を見分ける方法や,エシカル消費活動の意義について話があった。さらに,加渡氏の話には,ゴミの減量に関する話も行われた。そこで第4学年では,金銭教育の視点からゴミ問題について考えを深め合う実践をおこなった。ゴミの処理にかかる費用を環境センターに聞き込みを行い,数億円の費用が必要であること知り,ゴミを削減するために,自分たちができることを話し合い深めた。

 そして,各学年でお金の稼ぎ方や,大切さに関する理解を深めたことにより,周りの人に感謝の気持ちをもつことができた。2年生では,自分たちの生活に家庭で自分たちにどれくらいのお金を使っているのかをふり返った。たとえば,ランドセルにはレタス約300個分の価値があるなどを知り,おうちの人の労働に対する感謝を知ることができた。6年生の実践では,金銭に関する理解を深めた上で,お金を有効に使うために効率的で無駄のない,有意義な買い物をすることができた。また,夏休みのお小遣い帳の実践では,お金の使い方を失敗している人が多く次回への課題が明確となった。

一方で,本実践には以下のような課題をみることができた。

 まず,食品へのありがたみに気付くことはできたが,依然として好き嫌いがの残っていることである。学校の実態として給食の残食調査では,阿波市内と比較しても残食率は低いが,嫌いな食べ物は断固として食べないという児童がまだ多く見られる。苦手な食べ物であっても頑張って食べようという意欲が育つよう引き続き指導の手立てを考えていきたい。

 また,前述もしたが,金銭の浪費がやはり多いことである。児童・保護者がふり返りを行うことで,金銭の使用方法に反省を述べる人が多かったが,次の夏休みにお小遣いをどのように使うかを学校・家庭が協力し合って,指導・支援していく必要がある。
    
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