●平成22年度上板町立高志小学校活動内容(抜粋)
研究主題・学習内容については平成21年度活動内容をご覧下さい。
 
各学年の目標とねらい
  物やお金を大切にする子どもを育てる よりよい消費生活ができる子どもを育てる 労働とお金の関係を知り家族への感謝の心を育てる
低学年

 
 

 
身の回りの整理整頓を心がけるとともに、学用品などを大切に使おうとする。
 
 
 
 
 

 
物を手に入れるときはお金が必要であることを知る。

 
いらない物を買ったり買ってもらったりしないようにする。

 
ほしい物を全部手に入れることはできないことを学ぶ。
 
 

 
身の回りの仕事を進んでし、家庭でできることを増やしていこうとする。

 
 
働くことの楽しさを感じて、進んで家の手伝いなどをし、家族の役に立つ喜びを知る。

 
 
日頃お世話になっている人に感謝の気持ちをもち、その気持ちを伝えようとする。
中学年





身の回りの整理整頓を心がけるとともに、物の価値を知り自分の物もみんなの物も大切に使おうとする。

 
 


 
見かけに惑わされず自分に必要な物を選んで買えるようにする。



お金には限りがあることを知り、計画的にお金を使おうとする。




 
働くことの大切さを理解し、家族の役に立つ喜びを知って進んで仕事をしようとする。


家族の一員として家族との関わりを深める仕事をし、労働の喜びを知る。


自分たちの生活を支えている人に感謝の気持ちをもって接する。
高学年

 
 
 
身の回りの整理整頓を心がけるとともに、物の価値を考え有効に使おうとする。
 
 
  
 
 

 
自分に必要な物を考えて計画的に買えるようにする。

 
 
身の回りの生産と消費活動を結ぶ市場の仕組みを理解し、よりよい消費生活をめざす。

 

適切な金銭管理の大切さが分かり、責任を持って金銭を使おうとする態度を身につける。
 

 
 
働くことの意義を理解するとともに、社会に奉仕する喜びを知って公共のために役立とうとする。

 
学校や地域のために進んで働き労働の価値を学ぶ。

 
 

日々の生活が人々の支え合い助け合いで成り立っていることに気づき、お世話になっている人に感謝するとともに、その気持ちを伝える。
 
活動の実際
 第2学年の取り組み 
活動名 「さつまいもを育て、販売しよう」
1.活動のねらい
・さつまいもを収穫したり、販売したりする体験を通して、働くことの楽しみや大変さを知る。
・さつまいもを販売する活動を通して、お金の価値を知り、ものやお金を大切にする態度を養う。
2.活動の概要
「さつまいもやさんを開こう」
去年に引き続き学校のバザーで販売した。きれいなお芋は、洗って乾かし、袋詰めして値段をつけた。昨年つけた値段や、昨年の売れ具合から、今年の値段を1キロ50円と昨年より少し安く設定した。
 当日は、呼び込み係や販売係など係を決めて、一人一人が責任をもってできるように分担した。また、たくさんのお客さんにきてほしいと願いを込めて看板を作りさつまいもやさんを開店した。
 2年生の保護者は、子どもたちが販売しているので、温かい言葉をかけてくださり、購入してくれた。
 子どもたちは、お芋が売れるとほっとしたようなとてもうれしそうな表情をしていた。お客さんとのやりとりも回数を重ねるごとにだんだんと上手になり、自信をもって声を出し、売ることができた。
3.成果と考察
 さつまいもの土作りや畝作り、マルチかけなどは農家の方がご厚意で手助けをしてくださり、本当にありがたかった。今年度も昨年に続き、子どもたちはさつまいもの栽培に意欲的に取り組むことができた。土を耕したり、花を植えたりして、体を動かすことが大好きな子どもたちである。自分たちが心を込めて栽培した作物を自分たちが計画して販売する活動を通して、「お金の大切さ」「食べものを大切にする心」などを学んだ。また、販売では、宣伝や販売方法の工夫などが大切なことも分かった。
 
 第5学年の取り組み 
活動名 「サラダパーティーをしよう」
1 活動のねらい
・サラダの材料を育てるという体験的活動を通して、地産地消の良さに気づく。
・自分に必要な品物を選ぶとき、商品を比較するなどして計画的に買えるようにする。
・身の回りの生産と消費活動を結ぶ市場の仕組みを理解し、よりよい消費生活をめざす。
2 活動の概要
家庭科の学習
理科の時間に種をまき育ててきた「ベビーリーフ」と「サラダ水菜」を使って、家庭科の調理実習でサラダ作りに挑戦した。

総合的な学習の時間
自分たちが食べた「ベビーリーフ」と「サラダ水菜」がスーパーマーケットなどで、いくらで売られているのかという疑問が子どもたちから出された。
 それを解決するために実際にスーパーマーケットへ取材に出かけた。いくつかの店舗での取材を元に資料を作成、それを元に子どもたちは話し合いをはじめた。
 子どもたちは「ベビーリーフ」も「サラダ水菜」も店によって値段がちがうこと産地がちがうこと、1袋の量がちがうことなどに気づいていった。
 また、自分たちが食べた量を買ったらと考えた子も多く「思った以上に高い。」「自分で育てて食べるのは、安いし安全だからいいことなんだなあ。」という意見も多く出された。また、いくつかの商品の中で自分だったらどれを選ぶかについての話し合いでは、次のようにさまざまな意見が出された。
 
・量の多い物を選ぶ。
・量が多くて安い物を選ぶ。
・手にとって新鮮かどうかを確かめる。
・日付があれば必ず見る。
・値段の安い物、割引シールが貼ってある物が得だからそれを選ぶ。
・生産者の写真が貼ってある物が安心できる。
・徳島産と長野産があるけど私は徳島産を選ぶ。
 これらの意見はどれも間違ってはいない。一つの品物を選ぶとき、様々な観点から商品を比較することは大切なことである。友達の意見を聞きながら、これまでの自分を振り返り「これからは何でもてきとうに買うのはやめよう。」「安いのも大事だけどおいしさや安全も大事と思った」などの気づきも見られた。
 また、徳島産を選ぶと言う意見からフードマイレージの話をし、地産地消についても話し合った。子どもたちからは「スーパーで徳島産をよく見る。」「徳島産の方が高いこともある。」「県内の地名が書いてあると安心する。」「これからは産地を確かめて買いたい。」などの意見も出された。
 
 第6学年の取り組み 
活動名 「バザーを開こう」
     −制作・販売など体験活動を通して、経済のしくみを理解する−
1 バザーを開こう
 12月5日(日)、子どもと保護者・地域の人が一体となって、「不要品を相互活用する、また、売り上げを学校生活に役立てる」という趣旨でバザーを開催した。
            ≪バザーのための具体的な事前準備≫
○保護者、地域の方々への品物の提供を依頼。
○品物の受け取り、保管
○品物の選定、手入れ、分類、値つけ
○会場設営…表示づくり、陳列、飾りつけ
○販売
◎事後学習…売上金の使い途
2 指導にあたって
 小学校段階での経済のしくみや在り方に気づかせるために、児童の手作りの店を開店し運営させ、制作・販売の工夫や利益金の使途などを考えさせていく。学年差や各教科等との関連を図るために、それぞれの学年に指導の重点を設定し、活動計画や役割分担をする際に、次のようなことに気づくことができるような学習展開を期待したい。
1〜5年生…教科との関連を図りながら商品の制作や店づくりの工夫
6年生   …全体の利益率を高めるための工夫
 コストのもつ意味を考えさせ、客のニーズを踏まえた品物を販売していく経験を重ねていくことで自己と他者や社会との適切な関係を構築する力を育て、将来の精神的、経済的自立を促しながら児童の金銭感覚を豊かに育てていきたい。
3 ねらい
(1)
 
必要に応じて、身近な人に聞いたり地域の店を取材したりして、よりよいお店づくりに課題を追求し解決することができるようにする。
(2)
 
自分が開きたい店について考え、計画を立て、必要なものをそろえて制作したり販売したりすることができるようにする。
(3)
 
他学年の児童や大人(教師や保護者)とも自ら進んでかかわりを深め、自分のよさや他人のよさに気づくことができるようにする。
(4) 売上金の使途についての話し合いを通して、自らの生き方について振り返ることができるようにする。

≪児童の感想≫
お金をもうけるのは大変だと思った。他の店をしている人も大変なんだなと思った。
 
 
はじめはだれも来てくれなかったけど、お客さんが来てくれだすと楽しくなって時間もわすれそうになったりする。だんだん大きな声でお客さんを呼ぶことができるようになった。

 
呼びかけや言葉づかいをていねいにしてお客さんを大事にするなど、たくさん売るためにはどうしたらいいか考えながら活動をすることができた。

 バザー当日は、6年生児童25名で役割分担をし、案内、接客、商品の説明、レジでの金銭の授受、商品の受け渡しなどを行った。大勢の来客で盛況のうちに終えることができ、児童は満足そうな顔で後片付けをしていた。
 売上金の使い途を考えた事後学習では、図書を増やそう、学校で飼育する動物を買おう、学校の修理費用にしようなど、さまざまなアイデアが出された。職員とも相談して、保護者や地域の方々の学校を思う気持ちに応える品物を購入する予定である。
 いらなくなったら捨てるという安易な感覚を持ちがちだった子ども達も、物を大切にするための具体的な方法を学ぶことができた。
 
研究の成果と今後の課題[研究主題に照らして]
ものやお金を大切にする子どもを育てる
 現在の私たちは、お金と関わりをもたずに過ごすことはできない。金銭教育に取り組むことで、お金を大切に計画的に使い、よりよく生活するという人間の生き方そのものを考える良い機会となった。各学年とも活動の内容は違うが、きめられたお金で迷いながらも生き生きと買い物をする姿がみられたり、ほしい物が買えたときの満足そうな顔が見られたりと学年に応じた取り組みがなされてきた。
 また、学校環境ISOの活動を充実し、子どもたちが毎日の生活からゴミの分別・電気のスイッチ・節水をチェックし、意識が高まってきたことが実感できる。今後も、ものを大切にすることやお金の使い方を見直し継続していきたい。
よりよい消費生活ができる子どもを育てる
 バザーの販売活動等に加え、高学年では、阿波銀行や税務署の方々など専門的な立場から「お金」について学ぶ機会を設けることができた。子どもたちが、お金と自分・友だち・家族・お金と労働について考えることができ、自立した消費者として、健全な社会生活を営むことができるようになるために必要な知識を身につけることができた。5年生のおやつ作りでは、材料の購入にも、チラシを集めて、比較し、買い物をする体験を通して、豊かな消費者としての買い物の方法を楽しく学習できた。
 今後なおいっそう、お金の使い方を考え、自分の生き方や価値観を磨きながら、豊かな生活やよりよい社会づくりに向けて主体的に行動できる態度を養っていきたい。
労働とお金の関係を知り、家族への感謝の気持ちを育てる
 体験的な学習を中心において「労働とお金の関係を知り、家族への感謝の気持ちを育てる」金銭教育に取り組んだ。子どもたちは、さつまいもやゴーヤ・米などの栽培に熱心に取り組み、働くことの心地よさや収穫の喜びから、働くことのすばらしさを感じることができた。また、働くことには、さまざまな苦労が伴うことも体験した。
 「バザーを開こう」では、各学年教科との関連を図りながら商品の制作や店づくりを工夫し、6年生は全体の利益率を高めるための工夫をした。バザーを通して、他の学年の児童・保護者・教師とも自ら関わりを深め自分のよさや他人のよさに気づくことができた。
 今後、客のニーズを踏まえた品物を販売していく経験を重ねて児童の金銭感覚を豊かに育てていきたい。
 
おわりに
 今回の研究を実践するにあたり、子どもたちの生活や教科の学習内容を検討し、研究主題に迫るために「生活設計コース」「経済・金融の仕組みコース」「キャリア教育コース」と3つの分野から取り組んだ。
 今回の金銭教育の研究実践を通して、お金の大切さを理解し、今後の消費生活に生かし、豊かな生活を送ることができる児童を育てる基礎ができたのではないかと思う。今後も、研究を継続して、実践を深め、研究主題が目指す児童を育てたいと考えている。
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