●平成18年度横見小学校活動内容
 
 研究主題 豊かな心をもち、人やものやお金を大切にする子どもの育成
 
 ★ 金銭教育でめざす子ども像と目標
<めざす子ども像>
○ものやお金の大切さに気づき、健全な金銭感覚を身につける子ども
○身近な人々への感謝の気持ちを育み、ものやお金の価値を生かす子ども
○働くことの尊さを知り、進んで協力できる子ども
<目標>
平成17年度… 豊かな体験を通して感受性や心情にはたらきかけ、お金やものの大切さを考え
         ることができる。
平成18年度… お金やものの大切さを考え、人や地域とのかかわりから、計画的に進んで行動
         することができる。
 ★ 実践事例<抜粋>
『横見っ子商店街を成功させよう』(横見のまつり)
 10月22日(日) 子どもと保護者・地域の人が一体となって、模擬店等を行う『横見のまつり』を開催。
 栽培活動やものを大切にする意識や活動がお金という報酬に結びつく体験をさせたいと考え、全学年で販売に取り組む。
<活動内容> ◆1年生   ◆2年生   ◆3年生   ◆4年生   ◆5年生   ◆6年生
 
★1年生 小さなかぶとミニカレンダー
   
●かぶの販売 
      
 「大きなかぶ」を学習した子どもたちと二十日大根等を栽培。しかし、思うように成長せず、販売当日は3パックしか詰めること事ができなかった。
●カレンダーの販売 
 
 国語科の「日づけとようび」の学習に合わせ、1年が12ヶ月等を意識させることを目的として制作。1人が2個ずつ作成。1個50円。
 商店街の開催時間を3つにわけ、全員が売り子体験をできるよう計画。
 事前に接客のしかたや値段の提示のしかた、おつりの受け渡しなどの練習をしていたが、実際にお金を持つと緊張している子どもも見られた。
 
★2年生 フリーマーケット
< 販売に至る経過 >
 学級会を開いてみんなで何を販売するかを考えた。
 子どもたちの日記の中でフリーマーケットに出かけたという内容があったので、どんなものを置いていたのかを話してもらい、フリーマーケットに決定。
 商品については、子どもたちのフリーマーケットにするため、自分たちの持ちものに限定。家庭で眠っている資源を活用するという地球に優しいエコロジーの考え方を身につけさせるとともに、使ってくれる人に使ってもらうという、ものを大切にする心を育てたいと思った。
< 成果と課題 >
○ 自分たちで値段を決め、折り紙で可愛い値札を付けたことで自分の持ってきたものに対しての
 愛着が深まり、売る工夫を考えることができた。
○ 自分たちの工夫がお金という形に変わるという体験を通して、勤労の大切さとお金や物の大切
 さを感じ取ることができた。
 
★3年生 ペーパーウェイト
< 販売に至る経過 >
物作りに時間とお金のかからない。
そして、子どもたちの個性や思いの表れるものを商品としたいと思う。
                    ↓ 
地域の探検を兼ね、川へ石を拾いに行き、子どもたちが絵を付けたペーパーウェイトの販売を決定。
< 販売当日 >
 原価がかかっていないので、そんなに高く売ることは難しいと思っていたが、子どもたちは、値段のことより自分たちで作ったものを買ってもらえることがうれしかったようで、家族に前もって宣伝しておいたり、店番の時に大きな声で呼び込みしたりするなど、楽しい活動になったようだ。
< 成果と反省 >
 販売体験は初めての経験だった事もあり、来年はこんな店が開きたいとか、こんな物を作って売りたいという大きな展望をもった子が多かった。
 今回は、自然のものを使い、購入したのはアクリル絵の具だけだったので、次回するとしたら、ものづくりに何がどれだけ必要で、そのためにはいくら準備金が必要か、そして、儲けを考えるのならいくらで売るとよいかなど、子どもたちにも分かるような取り組みをしたらどうかと思った。
< 児童の感想 >
○ 横見のまつりでは、ペーパーウェイトの店番が大変でした。当番の時間に早く行きすぎて、長
 い間店番をしました。
○ そんなに売れないと思っていたのに、けっこう売れてうれしかったです。
○ まつりでは、ミサンガと「よ米っこだんご」を買いました。おいしかったです。他にもたくさん売って
 いました。
○(俳句) 店番して ちょっと楽しい 売ることが
 
★4年生 廃油石けん
< 廃油石けんを作ろう >
 環境について関心を高め、資源を大切に守る態度を育てるため廃油石けん作りを行う。不必要になったものを再利用し、生活に還元していくすばらしさを感得したようである。
< 廃油石けんを販売しよう >
 自分たちが作ったものを自らが売りさばく。これほど魅力的な金銭教育はないと考える。販売当日、初めは少しはずかしくて声も小さかったが、少しずつ売れ始めると声も大きくなってきた。他の学年も行っているので、販売に拍車がかかり、学校中販売に回る子どもも現れた。
 今年も廃油石けんを心待ちにし買ってくださった人、環境に優しいというチラシを見て買ってくださる人等さまざまで、予定した時間の中で見事完売。子どもたちはとてもうれしそうな表情であった。本当に充実した時間を過ごすことができたという子どもたちの感想が多かった。
< 子どもたちの感想 >
・お客さんによろこんでもらえてうれしかった。
・サッカー部や中学生、おじいちゃんやおばあちゃんまで買ってくれてうれしかった。
・いっぱい売れて売り切れになってそんなに売ったのかと思った。
< 収益金について>
 後日、収益金をどのように使うかについて話し合い、4年生が中心に世話をしているウサギのえさ等に使うことになった。
 自分たちの活動が、自分たちだけでなく、学校のために役立ったという満足感や成就感を感じ取ることができ、一連の活動は子どもたちにとって価値ある学習になったのではないだろうか。
 
★5年生 よ米(こめ)っこだんご
総合的な学習の時間に取り組んできた米作りで収穫した米を使って団子作りをし販売。
「横見っ子が横見の米で作っただんご」という意味から、商品名を「よ米っ子だんご」と名付ける。
< 準備 >
 販売するだんごの種類はインターネットで調べる。試作後4種類の販売に決定。値段は、子どものおこづかい感覚から1パック<5個入り>50円と決まった。店の看板・宣伝のポスターやちらし・パックのデザイン作りも自分たちで意欲的に取り組む。
< 販売当日 >
 「よ米っこだんご」の店の前は行列ができ20分くらいで完売。
 
@たくさん売るための工夫
  その1:2パック以上買ってくれた人は景品が当たるくじ引きができる。
  その2:景品は家にある物の中で自分は必要ないけれど、他の人なら喜んで使ってくれそうな物を
       持ち寄る。
 
Aだんごが早く売り切れ、景品だけが残ってしまった時の工夫
  余った景品を使って一回10円のくじ引き屋を実施。
  ※@A共に、子どもたちの提案
< 子どもたちの反省と感想 >
・売る時いろいろな人と出会い、話ができて楽しかった。
・食べ物を作って売るということは大変なんだなあとよく分かった。 等
< 成果・課題 >
 今回は特に話し合いの機会を多くもったことが、子どもたちの自主的な活動を促したと思う。
 しかし、この販売体験は自分たちの力だけでは成功しなかったことに子どもたち自身も気づき、感謝の気持ちをもつことができた。
 手作り団子を早く売りたいと思う一方で、180パックも売れるだろうかという心配もあったので、完売した時の感動は大きかった。
 また、1パック50円のものを売るためにどれだけの手間がかかるかについても実感した。さらに、売上金から必要経費を引くと利益はもっと少なくなることを学習することで、お金を儲けることの苦労も再確認できた。こうして得たお金だから、無駄遣いせず大切に使う実践につなげたいと思った。
 
★6年生 古代米と秋の味覚
 春、田んぼの土を一人一つずつバケツに入れ、籾を蒔き、全員で育ててきた古代米を販売する計画を立てた。
 しかし、収穫の時期が近づくにつれ、大した量の販売は期待できないことが分かってきた。古代米の量があまりにも少ないのなら、秋に穫れる果物や野菜を集めて売ろうと話し合いをもった。(集まった物はサツマイモ、柿、すだち等)
< 商品 >
サツマイモ…芋けんぴにして販売。
サツマイモを揚げた廃油…凝固剤を入れて牛乳パックに流し込み、芯を入れてろうそくとして販売。
 今回の「秋の味覚を販売しよう!」では無駄にしたものは全くなく、売れるものは全て売り切ろうという子どもたちの知恵とたくましさとがほどよく表れたすばらしい企画であった。
< 子どもたちの感想 >
・ 当日朝早くからいもけんぴを作っていたらまつりが始まるぎりぎりまでになって、間に合わないと
 思ったけど、みんなの協力で間に合ったから良かった。すごく楽しかったです。またやりたいです。
・ 商品で何も協力できなかった分、メニュー(お品書き)作りや芋切りなどでがんばった。購買委員
 会で物を売るのとは少しちがった感じだった。すごく楽しく積極的にできた。
< 収益金について >
 6年生の横見っこ商店街での売り上げは、14,250円(経費4,196円、利益10,054円)。売上金は、社会のために役立てるという最初に話し合ったことを再確認して、半額の5,000円を歳末助け合い運動へ募金した。残りは、12月の学級お楽しみ会のおやつ代に充てた。
< 反省と課題 >
 古代米の販売計画は、手に入った籾種の量が少なかったため、収穫量も少なく販売が危ぶまれた。ところがその代わりに秋の味覚を集めたり芋けんぴを作ったりしようという子どもたちのアイデアが生まれ、商品を揃えるしんどさ、販売の苦労や楽しさを体験することができた。ただ単にお金を儲ける苦労や工夫だけでなく、その陰でさまざまな人たちに支えられていたことに気づいたことも大きな収穫であった。
 
★成果と課題
 金銭教育に取り組む機会を与えられたことがきっかけとなり、まず教師自身が豊かな心の教育につながる金銭教育という視点で、教科活動や学級経営を見直し、反省しながら実践を重ねることができたのは意義深い。
 今年は教育活動の中にどの学年も、栽培・労働活動やリサイクル活動から販売活動へとつながる体験を組み込むことによって、子どもが主体的に生き生きと活動できたのも一つの成果である。
 今後は、家庭との連携をより密にして、ものやお金を大切にする心や態度を育てる家庭環境や教師の関わり方をともに見直し、研修を重ねて改善していく必要がある。
★おわりに
 本校が金銭教育に取り組むことによって、子どもたちにさまざまな角度から「お金の価値」、「お金の使い方」、「流通の仕組み」等を理解させ、学習の過程や体験のなかから「生きる力」の育成などを培ってきた。
 この2年間の取り組みを通して、地域の方々の惜しみない協力と温かい人間味溢れる交流に職員一同改めて感謝をしている。現在、信じられないような事件が社会を騒がせているが、将来の社会を強く生き抜く子どもたちに成長していけるよう、今後も地域の方々との深いつながりを大切にしていきたいと思う。
 
                        
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