一宮小学校活動内容(抜粋)
 
  主題   人やものに感謝する心や態度を育てる金銭教育
      〜金銭感覚を磨く体験活動の工夫〜
                       ※金銭教育の目標等については、18年度活動内容を御覧下さい
 
 ★ 児童の実態
お金にまつわるアンケートを実施(平成18年5月)
≪アンケート結果≫

 お金のことを家の人と話をする    73%
 家の人の仕事のことを家の人と話をする    73%
 自分がつきたい仕事について家の人と話をする    58%

★お金について
        質   問    そう思う   そう思わない   わからない
 お金持ちはかっこいい      21%      49%      30%
 お金をたくさんためたい      82%       8%       9%
 お金が一番大切である      18%      61%      21%
 お金より大事な物がある      91%       6%       3%
お金より大事な物があると思っているが、やはりお金はたくさん持っていたいという素直な気持ちが見られる。

★お小遣いについて
 決まった金額をもらう   42%
 必要なときにもらう   34%
 もらっていない   24%
 お小遣いとは別に高額のゲーム機やゲームカセットを買ってもらっている児童は多い。
 一方、教室には鉛筆や消しゴム、ハンカチ、ティッシュなどの落とし物があり、ものを大切にして節約して暮らそうという意識が低い児童が多い。水道を出しっぱなしにして雑巾を洗ったり等、豊かさに慣れて無駄遣いをしていることに気付いていないと思われる場面をよく見かける。

 
 ★ 課題の解決に向けて
 お店にも家にも物があふれている現代では、子どもたちは様々な物に誘惑されている。そしてそれらを簡単に手に入れることができる。そのため、手に入れた物にもすぐ飽きてしまって、粗末にしてしまうことが多く、「落とし物」になっていても取りに来ないことが多い。
 「自分の物は大事にしましょう」と注意すれば名前を付けたり、自分の物はないかと探したりしている。子どもたちは物を大事にしなければいけない、お金は大事にしなければいけないと分かってはいる。その分かっていることを行動に移す児童を育てる必要がある。
 そこで、普段あまり意識することのないお金について、様々な角度から学習する機会を設けて、お金と生活のつながりを学ばせたいと考えた。この機会に暮らしを見直させて、物や人に感謝する心を醸成したい。物やお金を大切にすることを通じて、お金や労働の価値を知り、感謝と自立の心を育てることによって、人間形成の土台づくりを目指していきたいと考えて本主題を設定した。

 
 
          ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 実  践  事  例 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
 
   〜〜〜〜〜 3学年 お小遣い帳をつけよう(生活設計) 〜〜〜〜〜
 1 単元について
 金銭教育の目標の一つは、必要な物を計画的に購入する賢い消費者を育てることである。必要な物はおうちの人が買ってくれる、ほしい物は頼んでおけばいいでは金銭感覚は育たない。賢い消費者になるためには、もらったお小遣いを何に使ったか記録し、お金の使いみちをコントロールしていくことが必要である。お金を計画的に使うことで生活が豊かになることに気付いてほしい。
 お金を大切に使うために、どういうことに気をつけたらいいのかは今まであまり考えたことがなく、ただ使わなければいいと思っている児童が多い。そこで買い物シミュレーションを行って、収入・支出を意識させたい。買い物シミュレーションでは、収入・支出カードを使って、お金が入ってくること、出ていくことを疑似体験させる。お菓子を買ったり、お手伝いしてお小遣いをもらったりすることをさいころを使ったゲームで経験し、それをお小遣い帳に記入していく。
 ゲームを通してお小遣い帳の書き方が分かり、夏休みに実践できるようにさせたい。さらに、ほしい物を自分のお小遣いで買うためには、計画的に使っていかなければいけないということに気付かせたい。
 2 ねらい
・お金には限りがあることを知り、無駄な使い方をしていないか振り返る活動を通して、計画的にお金を使おうとする態度を育てる。
 3 指導計画(7月)
(1)学活「収入と支出について知ろう」   ………1時間
(2)学活「お小遣い帳をつけよう」      ………1時間(本時)
    買い物シミュレーションをして収入と支出を付けよう
(3)学活「夏休みにお小遣い帳を付けよう」………1時間
 4 「お小遣い帳をつけよう」
(1)目標
  収入・支出カードを使うゲームをして、お小遣い帳の書き方を知り、お小遣いを大切に使おうとする態度を育てる。

(2)展開
           学 習 活 動         指導上の留意点
1 お金について自分が考えたことを明らかにし、
 学習課題を持つ。
 ・お金をたくさん貯めたい。
 ・給食は残るともったいないのでお弁当にした
  方がいい。等
1 4つの部屋をして、お金について思っている
 ことを発表させる。
 ・意見がはっきり分かるようにする。
 

2 収入・支出カードを使って買い物シミュレーショ
  ンをしてお小遣い帳を付ける。
 ・グループに分かれ、さいころを使ってゲームをす
  る。
2 お小遣い帳の付け方が分かるようにする。
 ・残金の計算のために電卓を使わせる。
 ・足らなくなったら赤字で書かせる。
3 お小遣い帳を付けて考えたことを発表し合い、
 お小遣い帳を付ける利点について考える。
3 お金が貯まったときの気持ちを振りかえさせ、お金の使い方について考えさせる。
4 自分のくらしを振り返り、これからの行動につい
 て考える。
4 計画なしに使っていってはだめだということ
 に気づかせる。
 5 授業の実際
初めにお金についての問題を話し合った。
@お金をたくさん貯めたい  そう思う
 
 思わない
 
 将来のために使える。
 いっぱいためるといろんな物が買える。
 いっぱいありすぎても困ることがある。
 物をたくさん買うと家の中が狭くなる。
A今までむだ遣いしたことがある  ある
 
 ない
 
 ガチャポンやカードなど。
 ゲームカセットをたくさん買った。
 5,000円以上のカセットを10個以上持っている。
 (よく考えたらあった)
B給食は残す人がいるからお弁当にしたらいい  そう思う
 
 思わない
 
 残すとゴミになるのでお弁当にすればいい。
 お弁当が好きだからいい。
 毎日お弁当だとお母さんが大変。
 カレーとかは持って来られない。
C水がもったいないので拭き掃除はしなくていい  そう思う
 
 思わない
 
 ほうきと手できれいにできる。
 水はお金だから。
 水代がもったいなくても、隅をきれいにするのはぞうきんだから。
この話し合いの後、収入と支出のカードを使ってお小遣い帳をつけるお買い物ゲームをした。自分の買いたい物を決めてから、さいころをふってカードを引いていった。オレンジが収入で黄緑が支出。書かれている金額をそれぞれの欄に書いていった。
≪児童の感想≫
○今日お金の勉強して分かったことは、むだ遣いをしたらお金がなくなるから、むだ遣いはしたらい
 けないということです。
○お小遣い帳を付ける勉強をして思ったことは、目標の10,000円の自転車を買うまでに、今まで以
 上にお手伝いをがんばろうということです。赤字が2,350円にもなって悲しかったです。
○お金の勉強で赤字がなくてよかったと思いました。わたしは「お金を大事にしよう。」と思いまし
 た。 「お金をいっぱい使ったら、赤字になるから。」
○お金をためて使い方を考えて使ったら、お金があまりへらないと思いました。これから家のおふろ
 そうじや家のぞうきんがけをして、お金をいっぱいためて目標のヘルメットを買いたいです。
 
 〜〜〜 5・6学年 夏祭りに屋台を出そう(働くことの大切さの理解) 〜〜〜
 本校では毎年夏休みにPTAと育成会が校庭で夏祭りを開いている。各地方別子ども会ごとに食べ物やゲームの屋台を出している。今年も「金魚すくい」の屋台を出すことにした。
 当日は3・4名ずつ会計係と金魚すくいの係に分かれて、店番をした。他の屋台は事前にチケットを売っているが、この「金魚すくい」は1回100円を現金でもらうことにした。大きな声で呼び込みをする子、小さい子の世話をする子など、どの子も生き生きと働いていた。働いてお金を得るという貴重な体験ができた。(7月)
≪児童の感想≫
○金魚すくい代をもらうとき、お金を取っているみたいでお金をもうけるのは良くないことなのかな
 あと思いました。
○お金をもうけるのはたいへんだと思った。他の店をしている人もたいへんなんだなと思った。
○はじめはだれも来てくれなかったけど、お客さんが来てくれだすと楽しくなって時間もわすれそう
 になったりする。すくった金魚をふくろに入れる役をしながら、大きな声でお客さんを呼んだりし
 た。
○赤字にならないためには、安く金魚やポイなどを買える店で買う。呼びかけや言葉づかいをてい
 ねいにして客を大事にするなど、たっくさん売れるためにはどうしたらいいか考えたらいいなと思
 いました。
昨年度は赤字、本年度は1万円余の黒字となった。購入・販売に工夫した成果といえる。
 
 
☆取り組みを終えて
 自分の物に名前を書いて最後まで大事に使うとか水を出しっぱなしにしないなど、物を大切にして無駄をなくしていくという生活を見直していく学習に各学年で2年間取り組んできた。その結果、自分たちの毎日の暮らしに必要なお金、計画的に使わないといけないお金など様々な角度からお金について考えることができた。
 児童が作った『もったいないカルタ』に「毎月 きめて貯金して 必要になるまでためておく」とあるように、ほしいから買うのではなく、本当に必要かどうか考えて計画的にお金を使わなければならないと考える児童も増えてきている。
 学校では環境のことも考えて、毎日の生活で自分ができる節約をしていこうと機会ある毎に呼びかけている。むだ遣いをしないよう心がけている児童も増え、水道代や電気代が前年に比べて減っている。
 家庭でのお小遣いの使い方については、点検することができないが、今後も繰り返しお金の使い方について学習していくことで、計画的に使わなければいけないという意識をもつようになっていくと考えている。

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