●平成18年度一宮小学校活動内容 |
研究主題 |
人やものに感謝する心や態度を育てる金銭教育 〜金銭感覚を磨く体験活動の工夫〜 |
|
はじめに |
金銭教育で育てるものとして次の5点があげられる。 | |
1 買う前によく考える態度 | ||
2 お金を自分や家族、社会に役立てる考え方や態度 | ||
3 ものや資源を大切にする生活 | ||
4 生活設計…小遣いの使い方、貯蓄の習慣、収入と収支のバランス | ||
5 働くことの大切さの理解、働く親への感謝の気持ち | ||
本校では、本年度においては、上記5点を基本にしつつも網羅的に取り上げるのではなく、 学年に応じて重点的に取り上げることにした。 |
||
主題設定 の理由 |
本校区内にスーパーマーケットはなく、コンビニが校区の端に一軒ある。 そのため普段子どもたちが自分で現金を払って購入する経験は少ない。 一方高額のゲーム機やゲームカセットをもっている児童や、カード集めをしている児童が 多く見られ、おもちゃに多額のお金を使っていることが分かる。 そこで、普段あまり意識することのないお金について、様々な角度から学習する機会を設けて、 お金と生活のつながりを学ばせたいと考える。 この機会に暮らしを見直させて、物や人に感謝する心を醸成したい。 物やお金を大切にする事を通じて、お金や労働の価値を知り、 感謝と自立の心を育てることによって、人間形成の土台作りを目指していきたいと考える |
|
金銭教育の 目標 |
1 お買い物ごっこやリサイクルおもちゃづくりなど、体験活動を通じて、 物やお金を大切にする子どもを育てる。 2 自分たちのお金の使い方や身の回りの無駄遣いを見直し、 よりよい消費生活について考えることができる子どもを育てる。 3 労働の対価としてのお金や社会の中のお金の流れなどを調べることを通して、 必要な情報を集めたり買い物を計画的にしようとしたりする児童を育てる。 |
|
各学年の 目標 |
1年・2年…「もったいない」という言葉について考えたり、お買い物ごっこをしたりして、 物やお金を大切にする態度を育てる。 3年・4年…自分の持ち物や水、電気を大切にする暮らし方の工夫をすることを通して、 くらしを見直すことができる子どもを育てる。 5年・6年…お金を自分の暮らしに合わせて使うにはどうしたらいいか考えられる児童を育てる。 |
●各学年の取り組み |
|
||
●幼稚園のバザーに参加【買う前によく考える児童】 |
本校地域では実生活で小売店に出向いて商品を購入するという体験が非常に少なくなっている。 そこで、買い物経験をさせたいと考え、幼稚園のバザーに参加。 バザーでは、輪投げ等のゲームがあり、自分がしたいゲームを選んでチケットを買う。 子どもたちは限りのあるお金をどう使うか自分で考え、自分で払うという経験ができた。 自ら選んだもので、自己決定・自己判断の場ともなった。 現金を使って、自らチケットを購入し、その対価としての遊びやゲームを楽しむ活動を通して、 金銭の価値を感じる機会になった。 |
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 3・4年生 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ |
●お小遣いを計画的に使おう【生活設計】 |
・毎年子どもたちはたくさんのお年玉をもらっている。 そこで冬休み前に、自分がどんなモノにお金を使っているか振り返り、お金の使い方について話し合う。 ・お金の使い方アンケート→8割の児童がお金は必要なときにもらっている。 「無駄な買い物をしたなと思う物はなんですか。」→マンガ・手帳・鉛筆など。 その時欲しいなと思って買っても後で振り返ると無駄だったという物が色々あることが分かった。 ・そこで、無駄遣いをしないために、お小遣い帳を付けることにする。 記録を付けることで休みの間に無駄な買い物をしないように気をつけ、 またお正月のお年玉についても、その使い方を家庭で話し合うきっかけにもなった。 ・その後、お小遣い帳をもとにお金の使い方について話し合い、金融広報中央委員会のビデオ教材 『UFOにつかまった子どもたち』を見た。 ≪児童の感想≫ ○お金のむだづかいはやっぱりだめだと思う。使える物は最後までちゃんと使う。 ぼくはこれからむだづかいはやめます。1このおかしも作るのに長い時間がかかるからちゃんと食べる。 忘れた物はすぐに取りに行く。家の人が働いているのに、そのおこづかいをむだにつかうのはもったいない。 |
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 4 年生 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ |
●環境カレンダー【ものや資源を大切にする生活】 |
総合的な学習『環境について考えよう』の学習で、自然を守るためにはどうしたらいいのか、 自分ができることは何かを考えて、できることからやっていこうということになり、環境カレンダーを作る。 一人一人が次のような目標を決め、毎日の点検表に印をしていった。 ・電気をこまめに消す。 ・ゴミの分別をする ・水を出しっぱなしにしない。 等 よくできた日には花丸やにこにこマークを書いたりして、積極的に取り組んだ。 「お買い物袋を持っていく」というめあてを作った児童は、家族へも働きかけている。 児童の感想に、「きまりを書いたらできたけど、書かなかったらできなかった。」とあり、意識することが 大事だと気付くことができた。また、「点検期間だけでなくずっと続けたい」「限られた資源を大切に使おう」 という意見も出ていた。 |
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 5・6 年生 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ |
●夏祭りに屋台を出そう【働くことの大切さの理解】 |
本校では毎年夏休みにPTAと育成会が校庭で夏祭りを開いている。 そこで、今年は子供たちも屋台を出すことにした。 どんな店が良いか話し合った結果、「金魚すくい」のお店を出すことに決定。(1回100円) 当日は3・4名ずつ会計係と金魚すくいの係に分かれて店番をする。 大きな声で呼び込みをする子、小さい子の世話をする子など、どの子も生き生きと働いていた。 初めての取り組みだったことや雨天で人出が例年より少なかったことなどが原因で赤字になったが、 働いてお金を得るという貴重な体験ができた。 ≪児童の感想≫ ○働くのは大変だなあと思った。働いている人がすごいと思った。でも、働いてみたら楽しくて、 お客さんが来てくれるとうれしかった。 ○ぼくは会計をしていたので結構もうかっていたと思っていたけど、赤字だったと聞いて商売は 難しいものだと思った。 |
●子ども金融教育【生活設計】 |
阿波銀行の方に来ていただき、3回金融教室を実施。 @お金はどこから来て、どこへ行くの? ・自分にとってお金とは何かについてあらためて考える。 ・お金がなくてほしいモノが買えないとき自分はどうするかを考える。 ・大人はどのようにお金を手に入れているかを話し合う。 ≪児童の感想≫ ○4人家族で1ヶ月かかる費用が30万円位と聞いて、びっくりした。なので物をあまり買ってと 言えないなあと思った。大人の人は大変な仕事をして、お金をかせぐんだなと思った。 だからお金はとっても大切なことが分かった。 Aほしいモノはキリがない ・自分がほしいモノと値段を書き出して、本当に買いたいモノから順番を付ける。 (特にほしいモノはないという児童もいて、恵まれている暮らしがかいま見られた) ・ほしいモノについてチェックシートを使って本当にほしいかチェックした。 (ほしい理由がはっきりしているか、買った後も家のお手伝いをちゃんとする自信があるか等) ≪児童の感想≫ ○「買いたい物が本当に必要な物か」チェックしてみたら、ぼくがほしい物は、 すべて必要でない物ばかりだった。 B予算は限られている 限られた予算の中で友達と相談しながら買い物をするという活動を実施し、 計画、調査、実行、反省という意志決定プロセスを経験できた。 ・1500円でカレーライスとサラダの材料をそろえるには、何を買ったらいいか班で話し合う。 ↓ ・決めたものを見直していい買い物ができたか班で振り返る。 ↓ ・みんなの希望を調整しながら予算に合わせる話し合いの中で、 みんなが満足できるお金の使い方をしなければいけないことを感じることもできた。 ≪児童の感想≫ ○カレーとサラダの材料を選ぶのが大変だった。みんなでこれがいい、あれはいやともめたりして やっと決められたときはすっきりした。買い物は、ただいる物を買いに行くとしか思っていなかったけど、 ちゃんと計画を立てなければいけないんだなあと思った。 |
●来年度に向けて |
自分の物に名前を書くとか水を出しっぱなしにしないなど、物を大切にして無駄をなくしていくという生活を 見直していく学習に各学年で取り組んできた。それに加えて、お金について学ぶ機会を設けて、 子ども達がお金とモノ・お金と労働について考える活動をしてきた。 阿波銀行の方々に来ていただいてお金について学習したことで、自分たちの毎日の暮らしで必要なお金、 働いて得るお金、計画的に使わないと行けないお金など様々な角度からお金について考えることができた。 来年度は、各学年で金銭教育に取り組む時期や内容の見直しをしたり、全校で取り組める集会やバザー などを考えていきたい。 また保護者への啓発活動を行い、学校と家庭が連携してお金を計画的に遣えるようにしていきたい。 |
|
過去の一覧へ |