●平成18年度市場小学校活動内容 |
研究主題 | 生き生きと活動する子どもの育成 〜人やものの命を大切にする心や態度を育みながら〜 |
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金銭教育で目指す 子ども像 |
○自分の思いをもって生き生きと活動する子ども ○ものやお金を大切にし、勤労意欲のある心豊かな子ども ○友達のことを考え、思いやりのある行動ができる子ども 情報化、国際化、価値の多様化、高齢化など子どもたちを取り巻く社会は急激に変化している。 急速な勢いで変化しつつある社会にむけて、子どもたちが主体的に対応し、たくましく生きていく ことができる資質や能力を培うために「生きる力」の育成は急務である。 「もの」そして「お金」を大切にすることで、それらを生かして使うことや働くことに感謝する気持ち、 人に対する思いやりを育む金銭教育は、この「生きる力」の育成に深く関わると考える。 |
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研究の仮説 | (1)研究の目標 子どもが物やお金の価値を正しく知り、物や金銭を大切にする心情や計画的に活用する 生活習慣を身につける指導のあり方を、金銭教育の学習や活動における生活習慣の 振り返りを通して明らかにする。 (2)研究の仮説 「金銭」や「食」にかかわる内容をカリキュラムに位置づけ計画的・意図的に実践したり、 自ら課題を持ち取り組む学習活動の展開や活動の姿を振り返る場を工夫したりすれば、 人やものに対する温かな思いやりの心が培われる。 |
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研 究 | (1)研究内容 ○金銭教育年間計画の作成と実践 各教科・道徳・特別活動・総合的な学習の時間の中で、金銭教育に関わる内容を検討し、 教育課程の中に位置づけ実践する。 ○目的意識を持たせた体験活動 学校生活の中で、ものやお金を大切にする実践活動を計画し、実施する。 (2)研究方法 研究仮説に基づいて、金銭教育の目標に迫る授業や体験活動を構想・実践し、検討する。 ○検証方法 ・実態調査 ・生活習慣の振り返り ・学習感想 (3)研究計画 @金銭教育の取り組みの方向性の確認、市場小学校の課題の共有 A「金銭」と「食」を切り口に単元開発する B年間計画の改善 C実践・検討 D実践の評価から学年間の系統性やより有効な学年カリキュラムを立案する |
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 実践事例(抜粋) ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ |
6学年 単元名 自己資金で科学の祭典を開催しよう<総合・理科> |
下級生に科学実験や科学遊びを紹介するイベント(科学の祭典)を通じて、自分の価値や意味、 協力して成し遂げることの大切さを理解し、働くことの意味を考え自分ができることが分かり、 自己を高めていこうとすることを目指した事例である。 |
単元設定の 理由 |
科学の祭典を開くためには3万円の資金が必要となる。 子どもたちは昨年度の6年生の取り組みとして、この資金も自分たちで調達しようと考えている。 資金調達の方法としては、昨年のアルミカン・古紙回収、バザーに加えてフリーマーケットが あがった。資金調達を通して仕事の価値や意味、協力して成し遂げることの大切さを理解し、 働くことの意味を考え自分ができることを実践することを目指した。 |
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目 標 | ○科学の祭典や資金調達の企画・実施を通して、仕事の価値や意味、協力して成し遂げることの 大切さを理解し、働くことの意味を考え、自己を高めていこうとすることができるようになる。 ○学習のしかたやものの考え方を身につけ、自分から問題を解決したり、課題を深く追求しようと する意欲を育て、互いのよさに気づきながら相互に価値あるものとして認めていくことができる。 |
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指導計画 |
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実 践 | ○3万円調達作戦では、社会科の政治の学習内容を踏まえてバザー省(バザーしょう)や 回収省(かいしゅうしょう)・農林水産省(のうりんすいさんしょう)に分かれて活動。 ○活動方針…「国会」と呼ぶ学年集会で意志決定を行う。 ○稼いだ金…財務省が通帳を地域の銀行で作って管理。 毎回の収入・支出を台帳に記載し 国会で報告。 ○調達した資金で7月に科学の祭典を開催。 資金調達はその後も継続し、1万円ほどの残金が生まれ、この資金を有効に使うことを 考える機会として講師に池上彰氏を招いて金融教室を開催した。 ≪金融教室 金融広報中央委員会HP掲載実行報告書≫ |
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考 察 | ○自分たちで調達した資金を効果的に運用したり、責任感のある仕事に取り組んだりすることが 可能となった。 ○講師として発表内容に責任と自信も持つことやお客さんと交流することの楽しさとやり甲斐も味 わうことができた。 ○こうした取り組みは労働の価値やものやお金の大切さを実感すること、協力して夢を実現する ことを学ぶ良い機会となった。 ○アルミカンや古紙回収では回収業者の熱心で丁寧な仕事ぶりに着目させてプロの仕事を肌で 感じたようである。 ○問題解決力を育成し、「キャリア」に対する見方や考え方を深め、できることをやっていこうとする 態度を育てることに効果があったと考える。 |
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成 果 | ○人と関わることの楽しさや誰かの役に立つことの充実感を味わうことができた。 ○協力して一つのことを成し遂げることの成就感やあきらめないで挑戦することによって自分への 自信も深めてきた。 ○科学の祭典の開催を目指す中で金銭の価値や労働の意味、計画的な運用等を総合的に 学習することができた。 |
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●活動の成果と課題 |
2年間の実践を通じて金銭教育を通して次のような効果を確認することができた。 ○各学年で金銭教育の視点から全教育活動を見直し、様々な実践を行ってきた結果多くの単元を 開発できた。 ○ものを大切に扱おうとする態度やよく考えたお金の使い方への意識が高まった。 ○給食や食べ物に対する興味・関心を深めたり、食事を作ってくれる人たちへの感謝の気持ちを 育てることができた。 ○金銭教育の取り組みをきっかけに学校の教育活動や施設等をものを大切にするという視点から見直すことが できた。 ○環境委員会が中心となり、アルミ缶等の回収等を全校に呼びかけるなど各学年の活動をつなげて 広げることにより、全校的な活動に発展してきた。 ○教師の姿勢として、「物を大切にする」ということを自覚しながら教科指導、学級経営に取り組むようになった。 ○総合的な学習の時間の内容表の改善 これまで設定していなかったスコープ「キャリア」を設定することの必要性が明らかとなった。 ○様々な情報を正しく知って選択する能力を育てたり、よりよい食生活を送ろうとする意欲や態度を育てることを 目指した多様な単元を開発することができた。 ○「金銭」と「食」にかかわる内容を教育課程に位置づけ実践してきた結果、金銭教育の具体的な目標が 明らかになってきた。 |
●金銭教育の充実深化のために |
(1)生活や問題意識に自然に位置づける 金銭に関わる学習を子どもたちの学習や問題解決の過程に自然に位置づけ、切実感や必要性を 意識させるような学習過程を設計する (2)体験を通して実感的に学ばせる 資金を調達したり、リサイクル活動に参加したりする体験活動を通して、金銭の価値や労働の意味を 実感させ、健全な金銭感覚を育てる (3)具体的な場に即して実践力を高める 自己資金を運用したり、金銭を実践に使う場面を意図的に設定するなどの具体的な実践の機会を通じて、 計画的な生活設計能力の育成を図る |
●今後の継続に向けて |
(1)継続的な取り組みのために全体計画に位置づけて実践する。 教科・領域等の関連を図りながら意図的計画的に実践を重ねていきたい。 (2)家庭・地域社会との連携を充実する。 金銭に対する健全な感覚を育てることや計画的な生活設計能力を養う教育は、生活と密着しているだけに、 家庭や地域社会との連携が大切ある。今後とも家庭といっしょになって取り組んでいきたい。 (3)食育の全体計画を作成する。 金銭教育の展開から食育の取組の方向が明らかになってきた。今後は年間指導計画等を整備しながら 実践を進めていきたい。 |
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