2.本グループの取り組み |
T 生徒の実態 |
研究に先立って生徒の実態を把握するため、
事前アンケートを2006年4月に徳島市内中学校2年生152名で実施。
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●アンケート内容 |
【Q.】お小遣いの使い道
【Q.】買い物の失敗経験の有無
【Q.】買い物するときに、気をつけていること
【Q.】商品購入の手がかり
【Q.】購入方法 |
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●アンケート結果のまとめ |
○お小遣いの使い道は、本・食料品・文房具が中心
○商品購入の手がかりは、実際にみ見ることと広告
○買い物は値段を重要視
○購入方法は、店舗販売が中心(インターネットでの購入も年々増)
○買い物の失敗経験は8割以上 |
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U 授業実践 |
(1)広告作り |
アンケート結果から、生徒は広告を上手に利用できていないために買い物の失敗が多いことが
分かりました。そこで、昨年度、研究グループが作成した資料「賢い消費者になろう!」を活用し、
広告づくりを行いました。そのなかで、生徒は販売者の意図や消費者が必要とする情報を知り、
両者の立場で広告づくりをすることで消費者としての広告を見る目を養いました。
また、広告作りを通して環境に配慮した商品についても関心を持つことができました。 |
(2)研修会 −中学生にかかわりの深い販売方法− |
授業をさらに充実させるために、夏休みにグループのメンバー内で研修会を実施。
○演 題 「青少年の消費者問題を考える」
○講 師 金融広報アドバイザー 加渡 いづみ先生
○研修内容 ・多様化する悪質商法と狙われる若年層
・青少年に必要な契約の基礎知識
・クーリングオフ
・若者の被害が多い悪質商法
・増加するインターネットや携帯電話トラブル
・暮らしのIT化と個人情報 等
中でも悪質商法は「生ものであり、次々と進化していく」ということが大変印象に残りました。
私たち教師は常に新しい情報を取り入れて啓発することと同時に、「契約」や「クーリングオフ」など
消費者として必要な知識が身に付くようにしっかりと教えることが大切であることを再確認しました。 |
(3)電脳商店街 −インターネットショッピング体験教材− |
先の研修を受け、電脳商店街というインターネットショッピングの体験教材を取り入れる。
授業の目的:インターネットショッピングで、買い物の成功や失敗をリアルに体験し、
ネットショッピングの時に気をつけることや被害にあった場合の対処方法を学習する。
授業中生徒は、自分が注文した商品の数が違っている事に驚き、商品の数量や金額を確認
してから、クリックしないといけないと考えさせられていた。
また、別の生徒は、注文した商品が送られてこないので困って、会社に電話をしようとしましたが、
電話番号を控えていませんでした。
そこで会社の住所・電話番号や注文内容や契約事項など、印刷して、残しておくことを伝えました。
生徒は信頼できる会社で購入しなければトラブルにあったときに困ることに気づいたようある。
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≪生徒の感想≫
○実際にインターネットで買い物をした気持ちになれました。どんなトラブルが起こるかも体験して
良くわかりました。家でもインターネットを使うことがあるので、こんな勉強は大切だと思いました。
○インターネットで本当のように買い物できたので、分かりやすかったです。 |
(4)ロールプレイング |
生徒は消費生活の学習を進める中で、悪質商法やトラブル解決の方法について、
たくさんのことを学んできました。消費者がこうした手口に引っかからないようにするためには、
それぞれの商法の特徴をよく知ることが大切です。
そこで、被害にあったときの場面を実際に演じるロールプレイングを授業に取り入れました。
今回は、雑誌の広告による悪質な通信販売やインターネットショッピング、携帯電話への
不当な請求、消費者情報センターへの相談などの台本を元にロールプレイングを行いました。
★体験T 「雑誌の綴じ込みで買ったアイドルグッズが使えない」 |
生徒たちがよく見ている雑誌や漫画についている広告による悪質な通信販売のトラブルです。
届いた商品が思っていたものと違っていたため、返品したいと申し出ましたが、
返品できませんでした。
無料とあったので、興味本位でアクセスしたために、高額の不当な代金請求がきて、
困ったというものです。業者の巧妙な手口には生徒も驚いていたようです。
★体験V 「ネットで買ったレアものスニーカーが届かなかった」 |
インターネットショッピングで、信頼できる業者選びのための表示について、
ネットショッピングの場合、広告に、業者名・住所・電話番号のほかに、代表者の氏名等も
記載することが義務付けられていることやオンラインマークがあることも学習しました。
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≪生徒の感想≫
○いろいろな悪質商法について見るだけでなく、自分で演じることで断りきれない
心理がよく理解できました。
○実際の対応の仕方をきちんと学んでおきたいと思いました。
○人の心理をついたやり方がうまいので、うまくのせられないようにしないといけないと思いました。
○だます人が悪いのは当然ですが、だまされる側が注意すれば、被害はもっと減ると思います。
○帰ったら、家族に今日の学習を伝えたいです。
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このように、ロールプレイングでは、演じている自分自身も見ている人にも、
当事者の置かれている状況や、そのときの心の動きが見えます。そのため、より理解も進め、
共感も得られました。
そして、第三者として、自分なりの意見を持った冷静な目で見ることにより、ロールプレイングの
登場人物の断りきれない心理や問題点などが、実際体験できました。演じることで被害者の
心理が理解できるということです。
生徒の実態によっては、ロールプレイングを授業に取り入れにくい場合があるので、
ビデオ教材も作りました。県内の中学校の生徒が演じて撮影し、その映像をCDに入れて配付し、
県下各校で見ることができるようにしました。
同じ中学生が演じているため、より共感して考えられたり、授業の導入に活用することによって、
ロールプレイングに対する抵抗感をなくしたりすることにも役立ちました。 |