●令和2年度徳島県技術・家庭(家庭分野)消費者教育研究部会活動内容
 研究テーマ 自らの生活を考え,自立した消費者になるために
 
 (1)はじめに
 徳島県技術・家庭(家庭分野)消費者教育研究部会は,徳島県中学校家庭分野研究会の中で,消費者教育を主としている。学習指導要領C消費生活・環境より消費生活・環境に関する知識及び技能を身に着け,これからの生活を展望して身近な消費生活と環境についての課題を解決する力を養い,工夫し創造しようとする実践的な態度を育成することをねらいとしている。
   
 (2)研究のねらい

 
中学を卒業して,親元を離れて生活をする生徒がいることを考え,自立した計画的な消費生活・金銭管理ができるようにする。

 
成年年齢の引き下げにより,自らの責任によって消費行動を取っていかなければならない事をふまえ,自立した消費者として責任ある消費行動を考え,工夫できるようにする。
 
 (3)指導計画(14時間)
内   容 使用教材
①消費生活の振り返りをしよう         
NHKエンタープライズ
DVD「18歳成人 できること できないこと」
②消費生活の仕組み
 
③将来設計をしてみよう
 
④いろいろな販売方法を知ろう
 
⑤いろいろな支払い方法を知ろう
 
⑥これからの支払い方法について       
NHKエンタープライズ
DVD「アクティブに学ぼう 暮らしと消費」
⑦商品を購入するときに考えなければならないこと
 
⑧商品の選択と購入シミュレーション(2時間)
 
⑨一人暮らしのシミュレーション        
ホワイトボードシート・マーカー・イレーザー
⑩消費者トラブルを知ろう
 
⑪消費者トラブルの解決方法を考えよう   
消費者力が身につく!
ロールプレイングシナリオ集
⑫消費者の権利と責任を知ろう
 
⑬環境を考えた消費者になるために  
 
 (4)研究の概要・学習内容
自らも消費者であることを知る。
自らが生きていく上で必要な収支について知り,これからの消費生活について考える。

 
現在よりさらに身近になってくるインターネット契約を含めた購入方法やキャッシュレス決済などの支払い方法のメリット,デメリットについて考える。
商品を選択する際の着眼点について考える。
消費者トラブルについて知り,解決方法を考える。
消費者の権利と責任を知り,自分や家族の消費生活が環境に与える影響について考える。
学習内容① 【自らの生活の収支について考える】 
 実践主要校である,那賀町立相生中学校は校区が広く,一番遠い生徒はスクールバスで片道約1時間をかけて通っている。高校への進学も不便なため,中学卒業と同時に親元を離れて暮らす生徒もいる。さらに,高校卒業と同時に親元を離れて暮らす生徒にいたっては大半を占めることになる。生活圏内に買い物ができる店舗が少なく,週末に保護者と共に出かけたり,家でインターネットショッピングを利用したりする生徒も多い。このことから,現在は保護者に頼った消費生活をしているが,卒業後は自立した消費生活や金銭管理等をしなければいけなくなる生徒が増えることが考えられる。これらのことから様々な収支や消費活動について考え,今後の生活を考えていく必要があると考えた。

≪効果と課題≫
 予想された通り,生徒自らが支払行動をすること自体が少なく,保護者に支払ってもらうことが多かった。自らの収支について見直したり,買い物の方法,生きていくために必要な支出について考えたりするなかで,実際に収支等について考えることができた。また,自らの生活が年齢を重ねるとともに変化していくことを知り,金銭等の取り扱いや購入方法などについての考えが変容する様子が見られた。一人暮らしのシミュレーションでは,1回目は自分の好きなことに予算を割いていた生徒も多かったが,最後には,「生きていくために,いろいろと考えなければいけないと思った。まだ早いかもしれないけど,今から考えていきたい。」といった感想が多くあがった。今後も生徒自身の消費生活とを結びつけるために身近な事例等を取り上げながら指導をしていく必要がある。
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学習内容② 【成年年齢の引き下げに順応するために】
 今の時代を生きていく生徒たちは,消費者トラブルに遭遇する可能性が高まる事が懸念される。その中でも,成年年齢の引き下げを狙った悪質商法,キャッシュレス決済等によるトラブルが増えることが考えられる。まずは様々なトラブルについて知り,トラブルに遭いそうになったとき,巻き込まれたときなどを考える必要がある。よく知られた悪質商法や,それ以外にも日々新しいトラブルが発生することを学び,トラブルに遭いそうになったときの断り方などをロールプレイングシナリオ集を用いて考え,クラス内で発表した。また,トラブルに遭ったときの相談窓口して,消費生活センターがあることを,職員の方からのメッセージと共に紹介した。
 
≪効果と課題≫
 学習前は,実際にトラブルにあった際にどのような行動をとれば良いか知らない生徒も多く,「親に相談する」という意見しか出なかった。しかし,18歳で成人になることや,様々な消費者トラブルを学習した後に消費者トラブルのロールプレイングをすると,「きちんと断ることが大事」や「困ったら消費生活センターに電話!」という生徒の意見がでてきた。変わりゆく時代の中で今後も新たなトラブルが発生すると考えられる。そのため継続的に実例を紹介しながら,生徒と一緒に考えるとともに,啓発を行うことが必要である。
 
 (5)研究の成果と課題
 人が生きていく上で必要な金銭等について考える中で,「何も知らなくて,今まで家の人に頼り切った生活をしていたことが分かった。」という感想が出た。また,消費トラブル等については,生徒たちはメディア等からの情報には詳しく,「オレオレ詐欺だ。」や「架空請求は知っている。」という声があがった。しかし,それ以外については知らないことが多かった。生徒からは,「一つの情報をすぐに信じてしまわず,確認したり調べたりする必要がある。」という意見が多く出た。実際に自分ですべてを考え,行動することはまだ先になるかもしれないが,正しく知ることが大事だということを伝えた。また,消費生活について振り返る中で,生徒たちは自らの生活と関連付けて考えることができる内容があった一方,消費者トラブルやカードの利用などについては,経験が無く,まだ自分とは関係のないことだと感じている生徒も多く,将来に向けてこれからも継続的な指導を続ける必要があると感じた。今回授業を行う中で,やはり様々な生活経験が必要だと感じ,今後も家庭と連携を図りながら,さらに生徒の生活に密着した授業を行っていきたい。
 
 (6)グループ校との連携
 研究主要校である相生中学校は,全生徒60名と少なく,生徒の意見が少なかったので,ワークシートや消費生活センターの紹介映像等を協力校と共有しながら,授業を行った。また,1年生での授業を主として始めたが,授業をした結果,継続的な指導が必要だと考えたため,1年生に限らず,内容によっては,2・3年生でも授業を行った。
活動内容
4月28日  研究内容の検討(阿南中学校)
7月10日  阿南市消費生活センターへの取材
その他,メール等にて授業内容の検討,学習成果の共有を行った。
 
令和2年度徳島県技術・家庭(家庭分野)消費者教育研究部会所属校
◆那賀町立相生中学校 ◆小松島市小松島中学校 ◆阿南市立阿南中学校
◆阿南市立阿南第一中学校 ◆阿南市立那賀川中学校 ◆阿南市立羽ノ浦中学校
    
 
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