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実践1年目に見えた課題を踏まえ,理論・実践の両面から学習を重ねてきた。生活に密着する「お金」に関する学習が多いので,関心を持った生徒が多いし,アルバイト先からマイナンバーの提示を求められるケースもよく耳にする。年金に関しては,「まだまだ先」という感じがあるのだが,二年続けて外部講師を招聘し,年金セミナーを実施したところ,少しずつ必要性を感じてきたように見受けられた。ただ,ローンとクレジットや金利については相変わらず「まだ用事がない」と感じている生徒は少なからずいるし,保険の学習では商品の多さと複雑さから自動車の任意保険の学習が中心になっている。
金融・金銭に関する知識は社会生活を続ける上で欠かせないのだが,内容があまりにも多岐にわたり,高校三年間の教育課程のなかですべてを展開するのは困難であり,就学前からの継続的な学習の必要性を痛感している。また,お金の使い方や価値観は生育環境の影響をもろに受ける。高校では「これから家庭を創る人」としての教育を実践しているが,保護者や社会への啓発もまた大きな課題である。往々にして人は自分が実際に困らないと学習しないものである。今回の研究校としての実践は,学校として金融・金銭教育の重要性や必要性をより強く実感する契機となった。今後も限られた時間の中でさまざまな工夫を重ねていきたいと思う。
(文責 笠井智恵)
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