●平成25年度鳴門市鳴門東小学校活動内容(抜粋)
 
 研究テーマ  人やもの、お金の大切さを知り、豊かな心を育てる金銭教育
 
 1.はじめに
 本校校区には、子どもたちが自分で買い物をする商店が少なく、家族と買い物に行く時に自分の必要なものを買ってもらうことが多い。そのため、お小遣いの使い方を考えて、計画的に使う経験も少ない。また、子どもたちの学用品から、学習に必要のない物を多く持って来ている実態がある。自分でお金の使い方を体得し、欲しい物も我慢したり、貯金して計画的にお金を使っていく習慣を小さい頃から習得する必要性を感じる。さらに、「消費者教育の推進に関する法律」の制定を機に、流通の仕組み、消費者としての資質も向上させたいと考え、金銭金融教育に取り組んだ。
 
 2.研究内容
(1)目 標
 
   人や物やお金の大切さを知り、家族や周りの人たちやものとの関わりの中で、
   正しい金銭感覚を身につけた子どもを育てる。

(2)めざす子ども像
  @ ものやお金の大切さや使い方に気づき、健全な金銭感覚を身につけた子ども
  A 働くことの尊さを知り、身近な人々への感謝の気持ちもつ子ども
  B お金の価値を知り、健全な消費生活能力の基礎を身につけた子ども

(3)主な学習内容・活動について
 お金の
 使い方を学ぶ
 ・お小遣いの使い方
 ・修学旅行の買い物
 ・調理実習の材料準備
 物やお金の
 大切さを学ぶ
 ・クリーンセンター見学
    (エコ活動へ)
 ・金銭金融学習
 ・栽培から消費活動へ
 流通やお金の
 流れを学ぶ
 ・「鳴門金時」を販売しよう
 ・市場を見学しよう
 ・お店の工夫を学ぼう
 物やお金を
 大切にする
 心を育てる
 ・道徳の授業
 ・絵本の読み聞かせ
 ・農家の見学を通して

(4)研究計画
  
活  動  内  容 学  年
 4  ○今年度の研究について
 ○野菜作り  「川添さんの野菜教室」
 ○3〜6年 野菜を栽培しよう
 ○「お小遣いの使い方」を学ぼう
教  員
 1・2年 
 3〜6年
1〜6年 
 5  ○遠足のおやつを買おう
 ○修学旅行のお金の使い方実践
 ○「欲しい物には切りがない」
 ○サツマイモ作り(苗植えをしよう)
 1〜5年  
    6 年  
3〜6年  
  1・2年  
 6  ○クリーンセンターを見学して
 ○エコレンジャー結成
 ○サツマイモ作り(お世話をしよう)
4 年
4 年
1・2年  
 7  ○お小遣い帳を付けてみよう  1〜6年  
 9  ○学校・学級・家庭でできるエコ活動  1〜6年  
 10  ○スーパーマーケットの見学・買い物体験
 ○「ものの値段が決まるしくみ」
 ○野菜作り  「川添さんの野菜教室」
 ○いもほり
 ○おやつ作り「スィートポテト作り」「大学いも」
  3 年  

1・2年  
1・2年  
1・2年  
11  ○お芋を販売しよう   2年  
12  ○調理の材料を買って作ろう
 ○金銭教育協議会参加
5・6年  
教 員
 1  ○野菜収穫  1・2年  
 2  ○「税の学習」  6 年  
 3  ○茶話会を開こう
 ○今年度の研究のまとめ
 6 年  
教 員  
  
 3.研究実践
   
 学 年  第2学年 
 活 動  野菜を育てよう・さつまいもを販売しよう
 内 容
 ○夏野菜の植え方を野菜名人に教えてもらう。
 ○夏野菜が大きくなっようにお世話をしよう。
 ○キュウリ・ミニトマト・なす・かぼちゃが実った。
   野菜パーティーをする。
 ○キュウリがたくさんとれた。
   児童玄関で販売しよう。
    お店を開く準備をし、お店を開く。
 ○サツマイモの栽培
   農家の人に教えてもらおう。苗植え。
   水やりや草取りを頑張ろう。
 ○サツマイモの収穫。
   農家の人に堀り方を教えてもらおう。
 ○サツマイモを使った料理やお菓子を作ろう。
   お世話になった人を招待して、サツマイモパーティーをしよう。
 ○サツマイモを販売しよう。
   多くの人に大毛島のサツマイモを食べてもらおう。
   キョーエイ鳴門店で販売体験。
   鳴東祭りでも販売しよう。

 ≪子ども達の感想≫
  キョーエイに行ってさつまいもを売って、45袋売れました。お客さんの中には、「3袋ください」という人や「1袋ください」とか「2袋ください」とかいたけど、「買えない」という人もいました。最後の一袋になったときにお手伝いをしてくれた吉田さんが200円で買ってくれました。ぼくは、とてもうれしかったです。がんばって育てたいもを、大きな声を出したりして売れたから、とてもたのしかったです。 
  
 今日、キョーエイでおいもを売りました。「鳴門東小学校でつくりました。」「一袋200円です。」「レシピつきですよ。」とみんなで交代で言いました。ふつうのおいもがお金になったのがうれしかったです。45袋全部売れました。合わせて9000円になりました。タクシーの運転手さんも1袋買ってくれました。最初ついて1分もたたないうちに2袋売れました。笑顔でにこにこ商売をしたから売れたんだと思います。  

 ○水菜・ダイコン・レタス・・などの冬野菜を栽培した。
   ・野菜名人「川添さん」に野菜作りを教えてもらう。
     土づくりの仕方・苗の種類や世話の仕方
   ・収穫した野菜をおでんに調理し、収穫した喜びを感じる。
 成 果

課 題

 
野菜やサツマイモの成長や収穫に喜び、楽しんで調理し、お世話になった人や自然に感謝しながら味わうことができた。

 
野菜やサツマイモを販売したことで、働くことの意義や喜びを感じていた。販売してお金を得たことで、お金を大切にしようとする気持ちが育った。
たくさんの方とのかかわる経験を通して、コミュニケーション力が高まった

 
国語や図工や学活と関連しながら学習を進めたが、やはり生活科の授業時間が多くなったので、時間数を調整することが必要である。
 
   
 学 年 第3学年 
 活 動   社会科「働く人 お店の工夫」 スーパーマーケットのひみつ
 お買い物大作戦
 内 容
スーパーマーケットを見学し、そこで働く人やお店の工夫について学習する。

 
スーパーマーケットのちらしや店内の表示などをもとに、スーパーの宣伝活動について学習する。
家族から買い物リストを渡してもらい、依頼された品物を予算内で買う。

 
スーパーマーケットまでバスで行く場合とタクシーで行く場合の料金のちがいについて学習する。
 成 果

課 題

 
 
スーパーマーケットのバックヤードを見学させてもらったり、店長さんにお話を伺ったりすることにより、自分たちが品物をお店で買うまでに、どのように品物が流通し、どのように販売されるかがよく理解できた。 


またスーパーマーケットのちらしや店内の表示などから、お客さんにたくさん買ってもらうためのお店の工夫を見つけることができた。

 
 
普段1人で買い物をすることがあまりなかった子どもたちであるが、家族からの買い物リストを手に目的の品物を求め店内を探したり、店員さんに場所を尋ねたりして買うことができた。
≪児童の感想≫
 一人で買い物をしたのは初めてで、緊張したけど、分からない所は店員さんに聞いたので、買い物をすることができました。
きちんとリストを見ながら、買い物をしました。 
 
お店の人に聞いたりして買い物をした。
最初の団子粉がお母さんが書いてくれていたものより値段が高かったのでお麩が買えなかったけど、安い団子粉を買って、おふが買えました。 

 子ども:初めて一人で買い物をして楽しかったです。
保護者:お店の人に、自分から聞くことができて、ママはとってもびっくりしたし、
     すごくうれしいです。末っ子の○○も、もうお兄ちゃんみたいに大きくなっ
     たんだね。お買い物、ありがとう。明日から、○○の買ってくれた麦茶を
     飲もうね。

 
探した品物の品質表示や賞味期限、産地などを確認し、目的の品物を買うことができた。

 
家庭と連携して、これからもこのような買い物体験を積み重ねていくことが必要である。

 
目的地までバスとタクシーで行くにはどのくらい料金にちがいがあるのか計算し、それぞれのメリット・デメリットを考えることができた。
 
   
 学 年 第6学年
 活 動 修学旅行に行こう  「お買い物大作戦」
 内 容

 
修学旅行でのお土産に何を買いたいかを考え、インターネットなどでお土産を調べる。

 
 
「絶対に必要なもの」、「ほしいもの」とを区別して考え、誰に何を買うかを区別しながら、買い物計画を立て、「修学旅行お土産リストアップ」 「ワークシート」を作成する。
実際に買ったお土産を記入し、自分のお小遣いの使い方について振り返る。
 成 果

課 題

 
 
修学旅行のお小遣いは○〇〇〇円までと決められている。この中でお土産や、太秦映画村でのお小遣いを考えると、自由に使える金額が限られていると言うことを事前の調査で気付くことができていた。
≪児童の感想≫ 
 

 
「予定と違う物と少し高い物を買ったけど、ちゃんと○〇〇〇円以内になったからよかった。」
「これからは、余分な物はあまり買わないようにしようと思った。」


「大人になって、使いすぎないように計画通りにできるようにがんばっていきたい。」 

 
「お金の使い方が少し上手になった。いつもの生活でもお金を上手に使えるようにしたい。」

 
 
 
 
 
事前に調査したことによってほとんどの児童が2日目の太秦映画村で購入する計画を立てていた。そのため、1日目の奈良でのお土産売り場では他の学校の児童が思い思いに買い物をする中、本校の児童はほとんど買い物をすることがなかった。その分、2日目の自分たちが決めていた映画村では、計画通りに余裕を持ってお土産を買ったり自分の為のお金を使うことができていた。事前の調査によって計画的なお金の使い方をすることができたように思う。

 
 
本年度、お土産の買い方やお金の使い方について事前に調査・計画しておいたことで、本当に上手に買い物ができておりよかったと感じた。やはり、お金の使い方について計画的に指導しておくことの大切さを感じた。

 
 
 
 6年生は修学旅行に限定して、お金の使い方について調査・実践・振り返りを行ったが、年間を通して金銭教育を実践することはできていない。 修学旅行でのお金の使い方の成果を生かして、普段のお金の使い方等に繋げていくこともできたのではないだろうか。
 
   
 学 年 第1学年〜第6学年
 活 動 「限られたお金を使ってみよう」
 内 容


 

「お小遣い帳」と保護者への協力依頼文を夏休み前に配布し、「お小遣い帳」を付ける活動を行った。期間終了後、振り返りカード(感想文)を学校へ提出するようにした。日頃お小遣いを渡していない家庭にも協力をしていただき、期間を限定してお小遣いを渡して、子どもが買い物をした記録をして、振り返るようにした。

 
9月の「学校だより」に金銭教育コーナーを設け、感想文を紹介して、他の保護者にもお金の計画的な使い方の教育的効果をお知らせした。
 成 果

課 題

 
「お金の使い方を考えたい」「値段を考えて買い物をしたい」「全部使うのではなく貯金もしていきたい」と感想があり、実施した効果があった。
≪児童の感想≫ 
 
 僕はこれまで決まった金額のおこづかいはもらっていませんでした。今回夏休みの間だけ決まったおこづかいをもらっておこづかい帳をつけてみました。決まったおこづかいの中でやりくりするのはとても難しく途中でお金がなくなりました。お手伝いをしておこづかいをもらって過ごしました。振り返ってみると、ジュースやアイスなど食べるものにたくさんのお金が必要で、貯金する余裕がありませんでした。これから大きくなっておこづかいをもらうようになったら、もっと考えて大切にお金を使うようにしたいと思いました。 (6年) 
    
 
 これまで決まったおこづかいはもらっていませんでした。おこづかい帳をつけるために夏休みは決まったおこづかいをもらいました。毎日書くのは大変だったけど、自分がどんな物にお金を使っているのかよく分かりました。もらったお金を全部使うのではなく、貯金もして大切に使おうと思いました。(4年)  
   
 
 いつもはあまりおこづかいを使わないけど、子ども会の遠足の時に、ジュースやおもちゃを買って、少しお金を使い過ぎた。これからは、もう少し考えて使いたいです。(1年)
   

 
 
日常的にお小遣いをもらって、お金を使っている子どもは少なく、特別にお小遣いをもらって使ってみる試みをした子どもが多くいた。このような経験はとても貴重で、多くのことを学ぶことができていた。

 
 
 「1年生なので大きな数の計算をすることは難しく、もう少し大きい学年で小遣い帳を活用するとよいと思う」というご意見を保護者からいただいた。対象学年や保護者の協力依頼の方法について改善する必要がある。

 
実施時期や期間については、各家庭の事情を考慮して、小遣い帳を活用する意義が感じられるように配慮する必要がある。
     
 4.反省・考察
  @ ものやお金の大切さや使い方に気づき、健全な金銭感覚を身につけた子ども 
   全校で取り組んだ「お小遣いの使い方」の実践を通して、「お金の大切さ」に気づくことができた。
 また、各学年で工夫した取組が行われてきた。特に、第3学年・第5学年・第6学年の実践成果から、来年度は、その実践を生かし、継続的に実践することが必要である。
  A 働くことの尊さを知り、身近な人々への感謝の気持ちもつ子ども
   自分たちが育てた野菜や花・サツマイモの販売体験を通して、「一生懸命に声を出して、お芋を買ってもらった。」などの感想を持つことができた。そして、お世話になった農家の方を招待して、「おいもパーティー」を行った学年もある。さらに、収穫した野菜で作ったサラダや味噌汁を他の学年や先生方に食べてもらうなどの活動へと広がっていった。今後も、計画的に実施していきたい。
  B お金の価値を知り、健全な消費生活能力の基礎を身につけた子ども
   第3学年ではスーパーマーケットの仕組みや店の工夫を学び、家族からの注文品を購入したり、第5学年では「調理材料」を購入したり、第6学年では「修学旅行のお土産」を購入したりする活動を行った。この活動で、予算を考えて購入するとか、産地や量を商品選びの観点にするなど、望ましい消費活動を行う機会となった。また、購買委員会では、古いノートなどの一部の文房具値引きして販売する活動を行った。わずかな売り上げ金ではあったが、使い方を工夫すればよいことに気づくことができた。今後も、各教科や領域の中で金銭金融教育を推進できるようにしていきたい。
  C 健全な消費生活能力の基礎を養うための保護者への働きかけ
   1・2年生が栽培した野菜を持ち帰り、収穫の喜びを家族で感じたり、児童のお迎えの時に野菜や花を購入してもらったりして、金銭教育について関心をもってもらうように働きかけてきた。また、「学校だより」に金銭教育コーナーを特設して、他の学年の取組を紹介したり、お小遣い実践を紹介して、家庭でもお金の使い方について考えていただく機会としてきた。今後は、教育講演会などの金銭教育を実施して、親子でお金の使い方や与え方、商品の購入の仕方、ごみ問題、労働と報酬などについて考え、実践できるようにしていきたい。
                        
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