●平成22年沖洲小学校活動内容(抜粋)
主題・主題設定の理由・各学年の目標については平成21年度活動内容をご覧下さい。
年間指導計画についてはこちらをご覧下さい。
 
≪T.活動の実際≫
第2学年の取り組み「ねぎっこフェスティバルをせいこうさせよう」
<事例 大きな数を知ろう〜よごれたけしゴム>
 (1)活動のねらい 
○お店たんけんを通して、お店の人たちの思いや工夫を学ぶ。
○ねぎっこフェスティバルに向けて、協力して準備を行う。
○一つ一つの品物には値段があることを知り、大切に使う。

 (2)活動の概要 
○学年目標
 ねぎっこフェスティバルを通して、地域の人や他学年の子どもとふれあい、協力してやりとげる苦労や喜びを味わうとともに、ものを大切に使おうとする態度を育てる。
○2学年年間計画

取り組み内容 実施教科
 
10
 
11
 
 
 
 
 
12
 
 
 
大きな数を知ろう  1000まで数えられるようになったよ
   
お店たんけん  お店や銀行の人たちは、いろいろな工夫をしているんだね。
 
おやつを買おう
 
 予算オーバーしてしまったよ。ほしくても、がまんすることが大切なんだね。
 
ねぎっこフェスティバルを
せいこうさせよう。
 1年生が楽しんでくれたから、みんなでがんばってよ
かったと思ったよ。
 
よごれたけしゴム
 
 これからは、1つ1つの持ち物を大切にしていこうと
思ったよ。
 
もっと大きな数を知ろう  
算数
 
生活科
 
 
算数
 
 
生活科
 
 
道徳
 
 
算数

 大きな数を知ろう(6月)
 算数の学習で、1000までの数を学習した。1年生で100までの数は学習しているが、それ以上の数はどのように数えるのか、興味を持って学習することができた。また、100を超える数はどんなところにあるのか、生活を振り返り意欲的に学習することができた。
 
 お店たんけん(10月)
 生活科の町たんけんで、校区にどんなお店があるのか調べ地図に書き込んでいった。すると、学校前を通る広い道路に沿って、いろいろなお店がたくさん並んでいることに気がついた。そして、コンビニ、八百屋、電気店の見学では、お店の人たちは商品の並べ方や値段の表示の仕方についても、いろいろな工夫をしていることがわかった。また、銀行の見学では、本物の一千万円の束を持たせていただいて、その重さや量を体感するといった貴重な経験をすることができた。
 
 おやつを買おう(11月)
 算数科「たし算とひき算のひっ算A」の発展学習「400円でおやつを買おう」では、予算内にお菓子を購入することを目標に取り組んだ。欲しいものを我慢することができず、予算オーバーをする児童が目立った。また、予算を決めるに当たって、お店に売られている商品の値段と児童が予想する値段に大きな誤差があった。「買い物に行ったとき、値段を見ていますか」という質問に「あまり見たことがない」という児童が多く、買い物に行ったときには、自分の欲しい物を買い物かごに入れて買ってもらっているだけということも見えた。今回の学習を通して、計画的に予算を決めて買うことの大切さや難しさを子ども一人一人が感じることができた。
 
 ねぎっこフェスティバルを成功させよう(11月)
 毎年1・2年合同で秋にねぎっこフェスティバルをしている。いつもは2年生がゲームなどのお店を出して1年生に楽しんでもらっていた。今年は、このフェスティバルにかわいい絵のついた10円のお金(模擬貨幣)を用意したので、お店でゲームしたり買い物をしたりするときにお金を支払うという体験やお店屋さんとしてお金を支払ってもらうという体験ができた。
 1年生は、200円、2年生は400円という手持ちのお金を決めて、どんな風に使おうかをよく考えてから遊ぶことを指導したので、今までと違って計画的に遊ぶことができた。
 グループでゲームや品物の値段を決め「1年生には10円、2年生には20円。」というように学年で値段を変えたり、「これは少し高くしよう。」と値段を高くしたりして、ものの価値について考えることができた。
 また、お店屋さんとしてグループで協力していくら売り上げがあったのかを、模擬貨幣を使って計算することもできた。各グループの売り上げが、400円ぐらいから1900円ぐらいの間だったので、今算数で学んでいる数の大きさとも合っていて良い学習になった。
 
 よごれたけしごむ
 算数科の学習で物の値段を知らない児童が多いことが明らかになり、これらの実態から、正しい金銭感覚を身につけ、物の価値を理解し、それらを大切にする気持ちを育てていきたいと考え、物の値段調べをすることから始めた。また、自分たちの落とし物に目を向け、落とし物に値段をつける活動を通して、落とし物を落とすことはお金を落とすことと同じであるという意識を育てていこうと考え本単元を設定した。この学習から、児童は、自分たちの落とし物もお金に換えられるということを知り、落とし物を落とすことはお金を落とすことと同じであるということ、落とし物の気持ちを擬人化し考えることで、落とし物たちは「大切に使って欲しい」という願いをもっていること、買ってくれた人に対して、感謝の気持ちをもって大切にすることに気付くことができた。
 
 もっと大きな数を知ろう
 これまでのさまざまな学習や体験を通して、数への興味を深めることができた。そして、「お年玉はいくら
だった?」「おもちゃの値段はいくら?」など、さらに大きな数についても興味を深めつつある。
 
 (3)成 果 
 今まで、自分でお金を使うことがほとんどできなかった子どもたちが、いろいろな経験をすることによって、少しずつではあるが、その価値や身近な物の値段について知ることができた。さらに、よく使っている文房具などもお金と同じぐらい大切であるということを実感することができ、きちんと名前を書いて最後まで使おうとするようになってきた。今後も、各教科や道徳の学習の中で金融教育に適した学習等で継続的に指導を続けていきたい。


第3学年の取り組み「大好き 沖洲の町」
<事例 見直そうわたしたちのくらし>
 (1)活動のねらい 
○買い物調べを通して、自分たちの家庭での買い物の様子を知る。
○地域の商店へ見学に行き、商店の工夫やお客さんの様子を知る。
○上手な買い物をするために気をつけることを考える。
 
 (2)活動の概要 
 買い物調べ(9月)
 自分たちの家庭では、買い物をするときどんな店でどんな物を買っているか、どんなことに気をつけて買い物をしているかを調べた。
 その結果、大型のスーパーマーケットや地域のスーパーマーケット、専門店、コンビニエンスストアなどで買い物をすることが多いと分かった。また、家庭で買い物をするときには、安くて良い品を選んだり、たくさんの商品がある店に行ったりすることも分かった。
 
 キョーエイ末広店・フレッシュ大島安宅店・ローソンプラス徳島安宅三丁目店見学(9月)
 買い物調べをした子どもたちは、実際に店へ行って観察したり、働いている人にインタビューしてみたいと言い出した。そこで、地域にあるスーパーマーケットやコンビニエンスストアではお客さんを多く集めるためにどのような工夫をしているか、また、買い物をしているお客さんがどんなことに気をつけているかを調べるために見学に行った。
 スーパーマーケットやコンビニエンスストアでは、価格の表示の仕方や商品の陳列の仕方、仕事をしている人がいる場所や仕事の内容を観察したり、インタビューしたりすることによって、お客さんの様々な願いに応えるために工夫していることが分かった。また、スーパーマーケットではちらしを効果的に使い、安くて新鮮な物を売るように工夫や努力をしていることが分かった。
 
 上手な買い物をするために(9月)
 見学を通して、子どもたちは様々な販売の工夫について調べてきた。その中には、食品の新鮮さや安全性についての配慮があった。そこで、販売者から消費者に立場を移し、子どもたちが自分自身の判断によって商品を選ぶことができるように学習した。
 (3)成 果 
 買い物について学習することによって、「どんな店でどんな物を買っているかよく分かった。」「店の人はたくさんのお客さんに来てもらうために、毎日、工夫や努力をしていることが分かった。」「買い物をするときには、よく考えて安全でよいものを選びたい。」といった声が聞かれた。

特別支援学級(たんぽぽ学級)の取り組み
<事例 「たんぽぽショップを開こう」>
 (1)活動のねらい 
○ 自分たちで作った製品を販売することによって、働くことの喜びや利益を得ることの大変さを知る。
○ 保護者や地域の人に、本学級の学習活動について広く知らせる。

 (2)活動の概要 
 毎年1月末の参観日に開催されるPTAのバザーに合わせて、本学級も「たんぽぽショップ」を開店している。6月から作りためた、シューズ入れ、給食用ナプキン、ナプキン袋、バッグ、ティッシュケース、台布巾などの布製品約200点と、クッキーとチョコケーキ約600袋を販売する。事前に、ちらしやポスターを作成し、校内放送や朝会でも宣伝活動を行う。
 また、2月上旬に行われる入学説明会でも、新1年生の保護者を対象に、「たんぽぽショップ」を開いている。新1年生のサイズに合わせたシューズ入れや、給食用ナプキン、ナプキン袋、ティッシュケース約100点を販売する。事前に1,2年生児童が、ちらしを持って、幼稚園や保育所に出向き宣伝をする。出身園の元担任に会うことができ、子どもたちにとってはうれしい訪問となっている。
 いずれの「たんぽぽショップ」も、高学年児童は、電卓を使って、合計金額やおつりの計算の練習を繰り返しておき、当日の販売時に、レジを担当する。低学年児童は、シールに値段を書いて商品に貼る作業を分担して、当日は売り場を担当する。バザー終了後には、売り上げ金を金種別にし、全員で数える。
 後日、バザー打ち上げの学級遠足に出かける。売り上げ金から、一人500円ずつ報酬を受け取り、帰りに喫茶店に立ち寄って好きな物を注文するのが恒例となっている。

 (3)成 果 
 毎年、たんぽぽショップがオープンする30分前には、100人近くの方々が並んで待って下さる。たくさんの方が次々と商品を買って下さり、長期間かけて製品を作ってきた子どもたちの努力が報われる。
 「材料を仕入れ、製作し、製品を販売し、利益を得て、報酬を受け取り、さらに設備投資をする」という流れを、それぞれの発達段階に応じて理解させることも、バザーの単元学習を重ねるうちに可能になってきている。また、働いて得たお金を使う喜びを感じることは、将来の就労への意識付けになっている。
 
学校全体の取り組み
<事例 沖小エコ通信>
 (1)活動のねらい 
○ 月1回「沖小エコ通信」を発行することにより、消費者・金融教育についての保護者の理解を深める。
○ 毎月、各学年の取り組みを保護者に知らせることにより、子どもたちの意識の変容や成長の様子を伝
   える。

 (2)活動の概要 
○ 月1回「沖小エコ通信」を全家庭に配布する。また、裏面には毎月各学年の取り組みを紹介していく。

 (3)成 果 

 
保護者の反響は大きく、「よその子がどれだけお小遣いをもらっているかなどの情報が得られてよかった。」「親子でお金について話し合うよいきっかけになった。」などの声が寄せられている。

 
 
毎月、各学年の取り組みを紹介することにより、保護者の金融教育への理解につながった。また、異学年の教師間の共通理解にも役立っており、それぞれの学習を踏まえて各学年が学習を積み重ねていこうとする意欲づけにもつながっている。
 
≪U. 研究の成果と今後の課題 ≫
1.「大好き!ふるさと沖洲学習」を通して学んだこと
 地域に根差す産業や伝統文化、人々の暮らしを学ぶことで、子どもたちは変わってきた。いつもは見慣れたねぎ畑が広がる光景も、農家の人が収入を得るまでの日々の苦労を学んだ後では、違う目で見ることができるようになってきた。また、銀行やスーパーマーケットなどの店舗を見学することで親しみを持ち、そこで働く人の努力も学ぶことができた。
 参加日のバザーでねぎとねぎ入りセサミクッキーを販売した5年生は、広告や店舗、呼びかけの工夫をしても売れ残りそうになったり、材料費を差し引くとほとんど利益が上がらなかったりしたことに驚き、様々なことを身をもって体験した。「大人って、大変なことをしているんだな。」「3カ月もかけて育てても、ひと束50円でしか売れないのがショックでした。」など、体験後の感想には多くの本音が聞かれた。
 「働く」ことの大変さとともに労働の尊さにも気づき、地域社会の人びとへの尊敬の念やお金や物を大切にする気持ちを育てることができたと思う。
2.常時指導「くらしを見つめる学習」での児童の意識の変化
 各学年で発達段階に応じて、自分のお小遣いの使い方について考える時間をとることにより、無駄遣いに気付くよい機会となった。また、お手伝いをする、持ち物の整理をして物を大切に最後まで使うといった意識も高まってきた。特に、6年生の調理実習の材料を自分で買う体験では、今まで家族にまかせきりで、全く意識していなかった食材の値段を知り、安いもの、体によいもの、環境の負荷が少ないもの(フードマイレージ)、地産地消など、様々な視点から買い物を考えることができるようになった。
3.成果と今後の課題
 平成22年度は、各学年の実践だけでなく、委員会活動からの全校への働きかけをする「もったいない委員会」、保護者への啓発をめざした「沖小エコ通信」などにも取り組んだ。その結果、

 
 
委員会活動を節約や金銭について考える場とすることにより、5・6学年の子どもたちの中に主体性が生まれ、自ら工夫して「もったいない活動」を広げたり、他学年に伝えていこうとしたりする意欲が高まった。

 
 
 
 
「沖小エコ通信」を通じて保護者の金融教育への理解が深まり、それぞれの家庭でお小遣いの金額やお金の使い方について考える機会が増えた。また秋に実施していた「沖洲文化祭」のPTA主催のうどん、くじ引きなどの屋台について、「子どもがお金を無駄遣いする機会を増やしてしまう。」「昼ご飯をお金を持たせて購入させるのは、親の手抜きではないのか。」などの意見が出て、見直しをすることになった。

 このように、子どもたちのみならず、保護者、教職員のお金への意識はこの2年間でずいぶん変化してきている。今後はこの2年間で行ってきた実践を継続するととともに、「生きる力」を育む金融教育をさらに深めていきたいと考える。 




  過去の一覧へ